第3話




始業式に突然現れたイケメンに学校中が騒ぎになるまでそう時間はかからなかった。



「…ず!涼!!なにボーッとしてんのよ!」


帰りのHRも終わり外にいる騒ぎの元凶を見ていた所柚に呼ばれていた



「あ、ごめんごめん。なに?」


「だから!宝条くん!かっこいいよね…」



また宝条…どいつもこいつも宝条宝条って…うるさいんだよ


「うるっさいな!!!!」


「え…あ、ごめ……」



思わず声をいつも以上に荒らげてしまった。

突然声を荒らげた幼なじみに柚はただただ怯えるしかなかった。



「あの…えっと……涼にイラつかせたかったわけじゃなくて…その……ごめん……」


「わり…俺、先帰るわ」



まだ帰る準備を済ましていなかった柚を背に足早に帰る。



「涼!」と大きな声で呼ぶ柚に顔を向けられなかった。多分俺は酷い顔をしている。



どんなに外の音をシャットアウトしていても聞こえてくる宝条の話題。

ムカつく。

なんでこんなに腹が立つのか分からなかったがただムカついていた。


「っるせえんだよ!!!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る