ハルヒセリフ~キョンハルヒ入れ替えver~

「キョン!聞いたわよ」


「なにをだ?」


「あんた、告白してきた女を全部振ったってのは本当なの?」


「あぁ……どうだったかなぁ忘れた忘れた」


 肩に乗ったシャミセンををハラリと払い、キョンは『その手の面倒な話はやめろ』と瞳で訴えるようにあたしを見ていた。まったく、無表情でないときは気怠そうな表情ばかりね。


「まぁそうだな。俺みたいな身長も体重も顔立ちも成績も、家柄すらも平凡な一高校生としては、そう言った色恋沙汰の一つや二つがあってもなくても、なにもおかしくないだろ?」


「それはないんじゃないかしら」とあたしは思った。


「仮にそういうことがあったとしてもだ。ハルヒ、お前にそれを言ったところで何のメリットがあるっていうんだ?いつかお前言ってだだろ、なんだっけな、そう!精神病の一種なんだと。その言葉の通りだとするなら、この話題はお前にとっても俺にとってもこれ以上論議する必要はない、皆無と言ってもいいね」


「一人くらいまともに付き合おうとか、そういう相手はいなかったの?まぁあんたにそんな相手できるわけないとは思うけど!一応聞いておこうと思ってね、一応よっ」


「聞いちゃいねぇ……。なんというかあれだ、ハルヒ、そういうのは決めつけて言うもんじゃないぞ? まぁ残念ながら、全く全然、ほんとに全然、悲しいことにそういうことはなかったわけだが……」


 キョンは「全然」ってのを口癖にしたいのかしらってくらい強調していた。ふんっ結局いないんじゃないの。


「ハルヒ、人間ってのはな、平々凡々と生きて適当なタイミングでなんとなく結婚して普通に暮らしてそれなりな人生を送れたら充分幸せだろう?」

「もし、宇宙人未来人異世界人超能力者あたりが突然やってきてそいつらとなんやかんや仲良くなって、琵琶湖で生きたプレシオサウルスが発見される可能性よりも低い確率で結婚することになったとしても、まぁそれはそれで楽しいかもしれないが、それでもだ、いったい誰が得するっていうんだ?お前かハルヒ」


 それのどこが悪いのよ?そう言いたかったけれど、口にはしなかったわ。SOS団に入ってる以上、『普通に』なんてあたしが許さないもの。それくらいキョンだって本当はわかってるはずよ。


「谷口あたりは普通だろうがそうじゃなかろうが指で数えきれないくらいには振られてるだろうけどな。あいつ、普段は大口叩いてるくせに大事な時に限って変にびびって電話で告白しちまうんだよ。単純に谷口の面白さの無さっぷりに相手の方が気付いただけなのかもしれないがな」


 虫でも見るような目つきを前にして重大な――少なくとも本人にとっては――打ち明けごとをする気になれなかったであろう女の気分をトレースしながらあたしは頷いた。


「そうかもしれないわね。多少強引だとしてもちゃんとしたところで言うのが一般的には正しいんじゃないかしら」


「面白そうだから今言ってやろうか?」


「ばーか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

涼宮ハルヒの夢再現 結崎ミリ @yuizakimiri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ