第4話「すさまじく、落ちていく?」

実験報告

実験は成功し、わたしの理論は正しかったと証明された。つまり、世界はまだ救える。あと私達にできるのは、彼が無事帰還することを祈るだけだ。

「祈る」この行為は広く、世界中の多くの人々に見られる。祈りの対象は様々だが「祈り」はある種の世界共通行為だろう。

「行為」というと不思議に思えるが、そこには心があると私は思う。日本では、心を込めて料理を作る文化(それとも思想と言うべきだろうか?)がある。

つまり、私の作ったマカロンのできばえ良かったというわけだ。なぜなら、あまりの美味しさに担架で運ばれた者さえいるからだ。

結論

マカロンは正義

~テレポーター実験報告書より抜粋~


皆様、お久しぶりです。元軍人のサラリーマンです。突然ですが、皆様はどんな景色がお好きでしょうか?

ワタシは断然、夕焼けの浜辺が好きです。

そして、今一番みたくないのは青い空と白い雲です。

なぜかって?今見ているからです。

「うぁぁあああああああ会長のクソ野郎がぁあああああ!!ぜっっっぇぇったいぶっっころぉぉす!!」

いったい誰がテレポーターのテレポート先が空の上だと思うだろうか?

いや、誰も思わないだろう。

「あぁぁあああ!チクショウ!!死んだら会長を呪い殺したうえで、地獄で殺し続けてやる!!」

そんな事を叫びながら落下していると、突然頭痛と共に、視界が一瞬暗転する。光が戻った時、目の前にあったのは…

「水!?」

水面だった。

音を立てて勢いよく、水の中に突っ込んでいく。

(クソ!冷たい!!)

水は思いの外、冷たかった。が、幸いなことに思ったほど沈んではいなかったため、何とか水面へとたどり着けた。

するとまた、さっきと同じように視界が暗転した。

そして、送られた場所。

そこは…

地上だった。

今度は無事(?)地上に着いたようだ。

「あー死ぬかと思ったわ…まったくテレポート先が空のど真ん中とかあり得ないだろうが!あー!頭いたいし!!いつか訴訟起こしてやる…」

周囲から反応がないところを見るに、恐らく誰もいないのだろう。まあ、頭痛はするが地上に無事これたので良しとしよう。

さてと…どうしたものか…荷物もろくにないし、武器もない…とりあえず、そこら辺歩いてるやつから追い剥ぎでもして、装備を固めよう。

「もし死んじまったら…埋めればいいか。ん?なにか落ちてくるような気が…」

そんな事を言っていると、空かろなにかが降ってきた。

「あっぶね!!」

間一髪で避けた。しかし、音から察するにこれは当たったら死ぬレベルの重さなのだろう。落ちてきたのは、以外にもメモの付いたボストンバックだった。

「なんだこれ、メモか?えーと…」

『いやーごめんごめん、座標設定間違えちゃった!テヘペロ(・ω<)!許してちょんまげ~とりま、バックの中に一週間分の食糧と武器があるから安心して遭難してね~。なお、このメモは読み終わると同時にバックごとメモは消滅する幸運を祈る。by連子博士』

「は?消滅っていったいどういう…」

博士…また何かのスパイ映画でも見てきたのか?

『爆発まで後三分間待ってやろう』

「え、ちょおま!マジで!?」

某大佐風の音声と共に、メモに隠されていたタイマーが動き出した。

『三分間待つと言ったな…あれは嘘だ』

「嘘だろクソ!!」

とっさにバックを湖の方に投げようとした…

が、まるで戦艦の砲弾のように重く、とてもじゃないが投げられない。さらに、タイマーに表示されている時間が突然減り、残り時間一分になった。

こうなったらやることはひとつ!

すべてを捨てて遠くにランナウェイ!!

『じゅううううびょうううう!!』

「クソがぁぁぁぁ!!」

できるだけ離れてから、伏せて爆発を待つ。

…が、なにも起こらない。

「おい…まさか…」

恐る恐る、バックの方へ歩み寄りチャックを開けてみる。そこにはなんと…

「スマホじゃん…これたしか、うちの新型携行式軍事用通信機「K7000」だったかな?なんか名前が、ターミ◯ーターみたいで「縁起が悪い」とか言って販売部からくじょうがあったな…で、爆弾がないというわけは…」

一応、軍事用とは言っているが、基本は普通のスマホと変わらない。慣れた手つきでスマホの電源を入れる。

「あーあーあー、テストテスト、聞こえてるか~聞こえてたら返事よろ…」

電源を切る。

不思議だ。まさか、ここに送った元凶の声が聞こえてくるとは…呪われているかもしれないから破壊すべきだな。うん、そうしよう。まず、バックごと湖に沈めよう。

いや…まてよ?そしたら、いずれ発見されたとき困るな…埋める?いや、それも同じことだな…それにしても呼び出し音がうるさいな…一度だけでてみるか。

「もっしも~しオーイいるんだろ~出ろよ~オーイ!」

「くたばれクソ野郎」

「お前…上司にクソ野郎は無いだろクソ野郎は…あ、あと五十年は生きるから安心してはたらけや~」

「それはよかった。五十年間、時間をかけてゆっくり殺せますね?あと、有給返せ」

「不老不死の薬開発しなくちゃ(使命感)有給休暇?知らない子ですね…」

「…で、会長。ここはどこなんですか?」

「いやーそれがね?さっぱどわがんね」

「は?」

「異世界は確実なんだが…お前のいる周囲にあるのは…ん?おい、あれ…なんだ?」

「会長~どうかしましたか?って、いうかどうやって俺の現在位置を把握してるんですか?一応異世界いるんで、衛星も無いだろうしそもそも、通信もどうやって…」

「んー?無人機飛ばして送ってるよ?」

「通信は?」

「超小型のワームホールに吸わせて送ってる」

「え、できるんすかそんな事」

「できんじゃね?細かいことは、気にするな!」

「アッハイ」

「ところでさ、南に約数百メートルぐらい行った方に村?が有るから、ちょっと現地の人と話してきてくれないか?」

「村?って何ですかはっきりしませんね~」

「いやーそれがよ?…映像がはっきりしないから解りづらいんだが…村、燃えてんだよ」

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元軍人の異世界旅行記 Mary died @yomoyanomasato

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