第2話「世界を変える場所」


地下三階、そこは地上と同じロビーのような場所だった。

「ボディチェックと手荷物検査を」

「ん」

社員でも、一部しか知らない場所だ。常に警備員が常に警戒し、侵入者は決して逃さない。

だが、一番の防犯は・・・「」ことだ。

「あの~」

「ん?どうかしたか?あーさい・・・とう?君」

彩陶さいとうであってますよ。」

・・・息子に土器の名前を付ける親がこの世にいたのか。

「そうか、でも珍しいな親は陶芸家か芸術家か何かか?」

「ハハハハ・・・よく言われますが違います。考古学者です。」

よく言われるのか・・・いや誰にだよ!

「はー立派なことだ!で何か問題でもあったかい?」

「銃・・・なんで持ってるんですか?」

もちろん、日本には世界一厳しい銃刀法がある。

「え?許可は取ってるぞ?これ許可証な」

銃の所持は完全許可制で、半年に一度更新試験がある。

「トカレフにAK47、そしてマンドリンに・・・スオミKP31、さらにモシン・ナガン・・・ロシア旅行帰りですか?」

「分かってるじゃないか・・・シベリアは寒かったぞ~」

本当に、車が壊れた時は、死ぬかと思った。

「ハハハハハハ・・・お土産は?」

「シベリアの雪だったんだが、なんでも「」らしくてな。代わりに銃をくれたんだが、どう~しても雪はだめだったよ。一応密輸も考えたんだがな・・・」

まさか『雪とはいえどそれは帝国本土の一部です海外に売るようなことはできません』と言われるとはな・・・

「雪の密輸とは・・・捕まったらなんていうんですか?」

「雪合戦でもするさ」

そうなったら会長にすべての罪を着せて私は逃げるがな・・・

「ハハハハハハ・・・そうですか!」

「で、チックはもういいか?もう男に体を触られたくないんだが・・・」

「そうですね!それでは、会長がお待ちです。行きましょう」

そういうと彼は、さらに地下へ行くエスカレーターへと案内をしはじめた。

(まるでロシア地下鉄のエスカレーターだな・・・)


「というわけだよろしく頼む」

「なにがですかね会長」

私はサイコパスではないが、たまに人を殴りたくなる時がある。つまり、今だ。

「説明しただろ昨日」

「されてません」

昨日は、北極海の海を潜水艦越しに感じていてから電話は不可能だった。

と、言うのも「正規のルート」は吹雪で壊滅していた。

故に「」の手を借り、潜水艦でオホーツク海へ、そこから、船に乗り換えて帰る羽目になったのだ。お世辞にも快適と呼べるたびではなかった・・・が

「では、話をしようか世界を変える話を」

この時まだ、私達は本当に世界を変えてしまうとは思いもしなった・・・

(あ、家内に電話するの忘れてた・・・)

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