第4話 1日の終わりに
夕日を背に俺たちは歩いていた。そういえば金がないことを言っていなかった。
「そういえば金がない。1回家帰っていいか?」
「嫌です。家からより、学校からの方がコンビニ近いです。ちなみにいくらあるんですか?」
「600円。本当にコンビニのデザートでいいのか?」
「ええ、それで十分です。600円あればいけます。」
「ん。」
それからというもの、またクズだのなんだのうるさかった。コンビニに着いたら着いたであれは嫌これは嫌で結局4箇所も連れ回された。気づくと日はすっかり落ちていて、真っ暗だった。しかも遠くまで来てしまって家に着くまで50分もかかった。家に着くと8時をまわっていて父に怒られた。まぁ、ここはかばっておこう。俺が悪いんだし。でも、珍しくひまりがしょんぼりしてる顔がかわいい。ってなに考えてんだ俺は。こいつは顔はいいが中身がアレなひまりだぞ?
「こんな遅くまで何をやっていたんだ?」
「あ、あの私が…」
「ごめん父さん、俺が悪いんだ。ちょっと寄りたいところがあって、俺が連れ回しちまったんだ。」
「…そうか。これからはないようにな。」
それだけ言うと父は自室に戻っていった。
俺も部屋に戻るか。部屋に戻るまでひまりは静かだった。そして、部屋の扉をパタンと閉めるとやっと口を開いた。
「さきほどは、ありがとうございました。」
「いや、お礼なんていいよ。元々俺が購買で買い損ねたからこうなったんだからな。」
さてと、財布の中身補充しますか。ピラピラチャリチャリ入れていると、
「そうだ、お詫びととしてはなんですが、さっき買ったものを半分こしましょう。」
と、言ってきた。そんなことするわけないのに。
「いや、いいよ。だいたいあれだけまわって1つしか買ってねぇじゃねぇか。」
「いいんです。たまには私を素直に受け入れてください。」
「いや、お前はメイドで俺はご主人様、メイドから取るなんて最低じゃねぇか。」
「あれ?逆じゃなかったのですか?」
「いや、おかしいわ。お前俺のメイド服姿耐えられるか?」
「いいえ、耐えられるわけがありません。ショックで秒死してしまいます。」
「さすがにそこまで言うとは思わなかったわ。カウンターくらった気分だ。」
「とにかく、半分食べなさい!」
と言うとひまりは半分食べてから差し出してきた。
「だからな、命令す…」
最後まで言えなかった。残り半分を俺の口の中に突っ込んできたからだ。あ、てかこれ間接キスじゃね?意識したらめっちゃドキドキしてきた。ひまりもやりきった顔しているが、そのことに気づいたのか、顔が真っ赤になっていた。
「と、とにかく‼︎…お休みなさい。」
「お、おう。おやすみ。」
それだけ言うとひまりは部屋を出て行った。
今日はラブコメイベントが多い1日だったと思う。
「…今日寝れるかな?」
俺は一生懸命目を閉じ眠りにつこうとした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます