第24話:チーム結成。
「そうだね」
俺は彼女の笑顔に対してそう答えた。
まぁそれしか言う言葉が無かった訳だが...。
「ミレイが後継者を決めてないって事は君の能力が無意識的に発動したってことになる訳だけど。君は一体何者なんだい?イメージ世界の時もそうだ。随分神の世界に慣れてる見たいな振る舞いをしているけど...」
俊介の視線が冷たくなり。そのヒヤリとした視線は季子を冷たく貫いている。
敵を見る目。という訳ではなさそうだが、仲間に対して向ける目ではない事は確かだ。
「神の世界なんてのは知らない。ただミレイさんだっけ?その人とそこにいる彼の会話からなんとなくで理解した振りをしていただけよ」
やっぱりイメージ世界で彼女は俺に気づいていた事に気付くと同時に、改めて彼女の頭脳の恐ろしさを痛感させられた。
俺とミレイ・ノルヴァの掛け合いだけで想像した?
そんな事が可能なのか?少なくとも俺には不可能だ。
「あ、でも本当になんとなくよ。私探偵じゃなくて殺人鬼だから。それこそ貴方達が何か面白そうなことをやっていて、いきなり戦いを挑んできた所から血腥い事をしようとしているんだなって思ったからついてきたの」
そういえばそうだ、コイツは殺人鬼だった。狂気を体現したような、正真正銘のサイコ野郎だった。
俺等はこんな奴を仲間に引き入れて本当に大丈夫なのだろうか?
「それでよく俺等が時間旅行者だって分かったね」
思わず思ってた疑問が口に出た。
彼女が驚異的な頭脳を持っていることは分かったが、時間旅行のトリックがまだ分からない。
「ん?あぁ、確かに理解するのに時間かかったけど、簡単だったよ。今日で確信したの、また7年後って言うあの発言は7年後から来たからだって仮説を立ててたんだけど。今日再開してその姿を見て確信した」
「あぁ、なるほど」
俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。
彼女の思考プロセスがなんとなくで理解できた。
彼女の思考プロセスは普通のそれとは違った。
彼女は莫大な数の仮定を頭の中で立てて、それ起こった出来事と照らし合わせることで、素早い理解と未来予知に匹敵する高い計算能力を得ているのだ。
種がバレてもやはり化物だという事には変わりがなかった。
一流の探偵が犯人を追い詰める時もこのような思考プロセスが確立されているのだろうか?
「あ、そうそう。自己紹介がまだだったね」
俊介が口を挟んだ。
そういえばそうだ、自己紹介どころかお互いの年齢すら聞いたことない。
「俺は俊介。【万物を司る神】の資格を持ってるいたって普通の高校生だ」
え?
いや待て、突っ込みどころが多すぎる。
まず【神の資格】に関してだ。
俺は俊介が神の資格を持ってる者とだけ聞いていたけど、【万物を司る神】だって?
いくらなんでもそれは嘘だろ?
万物を司るって...万物だろ?
なんでもアリってレベルじゃねぇぞ...。
「私はミレイ・ノルヴァ。元【時と運命を司る女神】で、今はその一部」
その一部と言うのが前から理解できなかった。
俊介が以前ミレイ・ノルヴァを倒したとは聞いたことがあったが。
その一部というのは一体どういうことなのだろうか?
「俺は勝治。ややこしいんだが【記憶を司る神】の資格を持つ資格を持ってるただの高校生」
自分で言っていて分からなくなる。
俊介に言われるままなんとなくで同行していたが、改めて自分の肩書きを見てみると大きいのか小さいのか分からない目標だ。
資格を持つ資格ってなんだよ!と自分に突っ込みをかけたくなるが、とりあえずは彼女の思考プロセスを真似よう。
「私は季子。貴方達風に言うなら【隠蔽を司る神】の資格を持つ資格を持ってるただの殺人鬼って言った所かな?」
いや、もう彼女と話ているとなんと言うか【妬ましさ】のようなものが生まれてくる。
次から次へとすごい勢いで会話が進むのもそうなんだが、彼女の思考プロセスから来るその理解の速さがなんとも妬ましかった。
羨ましさを通り越して妬ましさが湧き出る。
まぁ...抑えよう。
「まぁそんなこんなで、俺は勝治に神の資格を持たせて、神にしようとしている訳なんだが。ちょっと手違い起こして今天界から命狙われてんだわ、どうよ。一緒に闘ってみない?そういうの好きだろ?」
その瞬間、季子の目の色が変わった。
正確には目から光が消え、少し俯いた。
何かを考えてるような仕草を取っていたが、彼女にもここまで深く考えることがあるんだなと少し疑問に思った。
彼女が顔を上げると、そこには悪巧みに似た笑みが見えた。
「いいね、すっごくいい!普通の人生じゃまず体験できない事だよ!やっぱ私ってついてるかもね、なんだろうそれ聞いてるとすごくワクワクする。私に手伝えることあったら教えてね、出来る範囲でなんでもするから」
そう言って俺等4人は深い握手を交わした。
なんだか俺だけ取り残された感覚があったが。それからの離脱方法はもう理解できている。
俺が【神の常識】を理解することだ。
季子が俊介の耳元で何かを囁いていた。
「...ことは...だ...いて...あげるからね」
俊介の表情に驚きが浮かんだが、それはすぐに笑みに変わった。
「君を仲間に引き入れて正解だったみたいだ」
俊介のこの発言を聞いて俺は再び何とも言えない気持ちに陥ったが。よくよく考えると、俊介達の目的は俺を神に仕上げることなのだ。
だとすると俺は取り残されてるのではなく、むしろ前に前にと突き出されているのだ。
そう考えると何故だか安心感と不安が同時にこみ上げてきた。
何とも言えない感覚だ。
ただ一つ言えることは
【悪い感覚では無い】という事だけだった。
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「ご報告です」
「近々あの罪人共が天界に来ることになりそうです。男2人女2人の計4人で、どちらも若者です」
「そうか.....それは好都合だ。そのまま続けてくれ」
「はい。【???】様。」
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「なぁ、聞いたか?あの噂」
中学生ぐらいのフードをかぶった男が話している。顔は影になっていてよく見えない。
それこそ【無個性】をそのまま体現したような感じだ。
「うん、聞いたよ。あれでしょ?罪人の正体がミレイ様だって話でしょ?」
男の話し相手も中学生ぐらいの女だった。
同じく顔は影になっていてよく見えなかったが、姿を隠しているという訳ではなさそうだった。
「お前それ聞いてどう思った?」
「信じられないね。ありえないっていうのが正しいかな、あのお方が罪人になられるはずもないし、そもそもまだ復活なさってる途中でしょ?」
「だろ?でも罪人のチームの中に俊介もいるって噂だぜ?こりゃいよいよもって怪しくないか?」
「怪しい事は確かにそうだけど。だとしてもミレイ様がそんなヘマこく様な真似しないと思う...」
「どうだ?罪人探し俺等もやってみないか?」
男は一枚の紙を懐から取り出した。
「貴方..それって...」
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