第2章:時間旅行

第7話:目覚め

目が覚めた、ここは僕の家だろうか?

「おはよう勝治、随分ぐっすりだったな」

聞き覚えのある声だ。

ついさっきまで聞いていたような声


「ウワァァ!」


思わず変な声が出た、目の前に俊介が居た、最後に覚えているのは、変な夢を見て、その中に俊介が出てきて....


「夢じゃないよ、君は君の思考世界の中に居たんだ、君の本体は僕がここまで運んだ」


待て、理解が追いつかない。まず...


「なんでお前が僕の家にいるんだよ...」


「いたっていいじゃないか、君の事をここまで運んで来たのは僕だぞ?」


いや、まぁ確かにそうなんだが、ぐっすりって事はそこそこ時間あったよな...


「俺、どれぐらい寝てた?」


待て、今なんて言った?【俺?】かなり違和感があるんだが違和感がない、おかしな感覚になっている。


「いや、まぁ君は自分で自分のイメージ世界をあんなに滅茶苦茶にしたんだからそりゃ君の精神も狂うよ。あ、あと寝てた時間は約3年だけど、僕の能力で3年間をなかった事にしているから、実際は1日しか経ってないよ」


思い出した、僕は精神世界に飛ばされて、自分のイメージ世界を狂気で染め上げてしまったんだ...


「時間が経てば人の精神も徐々にとは言え変わる。君は軽く3年かかるぐらい深く精神世界を狂気に染めたわけだけど、流石にあの時はまいったよ、いたるところから刃物は飛んでくるし、地面から岩でできた刺がザクザク生えてくるしで、君の精神体に爆発でダメージを与えてやっと止まったって所かな。」


「まぁ、君はあの精神世界での事をよく覚えてるみたいで良かった、どうだい?改めて聞くよ、神にならないかい?」


神になる...全くと言って実感がわかない。

でもこれだけは聞いておきたい。


「なぁ、なんで俺なんだ?俺が記憶を改竄する能力を持ってるからか?」


俺はひと呼吸おき、じっくりと俊介を睨んだ


「俺が気づいてないと思うか?俊介。なんでお前は神の資格を持っていながら神になろうとしない?」


沈黙が走る、起きたばかりでこの空気は不快以外の言葉が出てこない、最悪の目覚めだ。


「はぁ...君が神にならないといけない理由から話さないといけなさそうだな」


「まず、誤解を解いておきたいんだが、僕は神の資格を持っているが神の仕事はしたくないんだ。天界の奴らを見たらその理由が分かるぜ、本当に退屈な奴らだ。己の保身の事しか考えない。チキンの集まりだ、この際全員一気に燃やしてフライドチキンにしてやりたいぐらいだよ。」


「だから僕は神の仕事はしない。天界人になるつもりがない、でも勝治。君には意欲がある。君はその空っぽな生き地獄に理由が欲しいんだろう?」


俊介はゆっくりと深呼吸をし、ゆっくりとした口調でこういった。


「だってお前、死にたくないだけなんだろ?」


沈黙が走る、考えなくちゃいけない事が多くある。

でも、だからこそ、今の俺はこの一言を言うだけで良い。


「いいね、神になるよ...この世の常識も何もかもを覆す【最強】の神になってやるよ」


俺は笑顔で俊介にそう言った。


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