第4話「仕事探し」
朝早くに目が覚めると今日は仕事を探しに行くことにした。
街の中心部に行くとやはり活気で満ちている。
「人多すぎだろ……」
前を向いても、後ろを向いても、どこを向いても人がいる。満員電車まではいわないが人気のある百貨店並みだ。
人が多いところが嫌いとか、苦手とかそういうのではないが、ここまで多いと流石に嫌になってくる。
街の中心部である噴水広場では、仕事の求人が行われている。
その仕事は、剣の師範から農耕などの力仕事、飲食店のコックさんに、貴族の執事まで、なんでも募集している。いかがわしい仕事も……
そう、今日の目的は仕事探しだ。
やはり、生きていく上には食べ物、もといお金が不可欠だろう。
なので、仕事をすることにした。
できることと言えば家事と力仕事くらいだ。
だが、料理以外なので、正直飲食店は無理だ。
執事とかなら、出来る気がしないこともないが、まぁ正直無理だろう。
執事を雇う人間はおそらく身分の高い者。すなわち貴族だ。
だが、どこの身分かも分からない人間を雇うほど貴族という人種は、お人好しじゃないと思う。
なので、執事は残念だが無理だろう。
仕事を探し始めて数時間が経過していた。
今はお昼頃。俺は噴水広場のベンチに座っている。
「ダメだぁぁ」
ろくな仕事が見つからない。
なんて言うか、賃金が安すぎて、とてもじゃないが割に合わない。
だが贅沢も言ってられない
だからとりあえず片っ端から募集している人のところに行き雇ってもらえるように頼み込んだ。だが俺を雇おうとしてくれる人はいなかった。
何十件ものいろいろな仕事。
力仕事に接客業、ダメもとで執事募集の面接にも行った。
案の定無理だったが……
「なんで誰も雇ってくれないんだ……もう腹が限界だ……」
そう一人でぼそっとつぶやくと、昨日河原で出会った少女の透き通るような声が聞こえてきた。
「……あなたは昨日の……」
横を見ると昨日、河原で出会った少女がいた。
昨日あった時とは違い服装はかなりオシャレな着ていて、昨日よりも一段と美しい。
こっちを見て微笑んでいる。
「君は昨日の……」
「奇遇ですね。こんなところで何をしているんですか?」
「今は仕事を探してる」
「なるほど」
こっちをジロジロ興味深そうに見てくる。
「見たところ全く、見つかってなさそうですね? それにお腹も減ってるって感じですか?」
「まぁ……そうだけど」
図星。
仕事が見つからないどころか、お腹も減ってることを当てるとは
この少女、出来るかもしれない。
そんなことをブツブツ考えてる内に少女はジロジロ見るのをやめ、顔をジッと見てきた。
「あなた、仕事探しているんですよね?」
「一応」
俺がそういうと彼女は笑みを浮かべた。
「なら、私に雇われませんか?」
「なんで?」
少し戸惑いを見せる俺。だがそんなのはお構いなしに。
「まぁ、立ち話も何だからお店にでも行きましょう。私の奢りですから」
そう言うと銀髪の少女は俺の腕を掴み急かすように引っ張った。
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