第4話
なんだ。そんな言い方されるとドキドキが止まらないじゃないか。ロリコンなのか僕は。と、身勝手に大人の妄想をしている側で、少女は幸せそうに微笑む。
正直、僕にとってこれは運命の出会いだ。恋人にしたい、とかそういうものではないけれど、運命。だって僕の考え方を180度変えたから。人を救うには色々な方法がある。待っているだけじゃ始まらない。自分ができることを精一杯する。…そう教えてくれたから。
「…なんか、運命的、だよね。」と、ポロリと言ってみる。引かれるかなと目線を下に逸らす。
「そうだね。これって、運命の出会いってやつかも!」ヒマワリみたいな明るい笑顔が返ってきて、安堵した。意外とロマンチストなんだね、とも言われたが、それは悪い意味ではないと受け取っておこう。
「あ、そうだ!」と急に階段の方に走り出した彼女はちょっと待っててと叫びながら118段をかけおりていった。待っててと言われると動けなくなるもので、僕は大仏のようにあぐらをかいたまま、黙って待っていた。
カラカラんっ、と聞こえ顔をあげたら彼女が。その腕は後ろに回したままだ。それに何でか、にやにやしている。
「何持ってるの?」「なんだと思う?」
いたずらっ子のように質問し返してくる。これはちょっと当てたい。大人気ない僕はばっと立ち上がり横から覗き込んだ。昇ってきた日の光に照らされて、きらきら光っている彼女の手の中のそれは、ほんのり青みを帯びていた。
「もう!ちゃんと当ててよ!」とぷりぷりしつつ手渡してくれたそれを、決起の盃に見立てて飲みあった。
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