幸せ

好きで好きでたまらない人がいる。

きっと私はその人の為ならばなんだってできるだろう。


私の好きになった人は2歳年下のまだ本当の恋を知らない幼い人だった。

恋に恋する時期だったのか恋人を欲しがるその姿にも『可愛いな』なんて思う私は相当末期だと思う。


彼と私は3日間だけ付き合っていた。

私は本当に彼が好きだったし付き合えただけで嬉しくて毎日愛を伝え、幸せを感じていた。

それでも最後に彼に告げられたのは『重かった。』その一言だけだった。


彼からのその一言は私に衝撃を与えるには充分だった。

何がいけなかったのだろう。

何が重かったのだろう。

そんなことばかり考えていた。


そんな彼はやっぱり恋人が欲しくて。

じゃあ何で私と別れたの。ってやるせない気持ちが強かった。

適当な理由で振られたのは自分でも分かってた。

それでも嫌いになれなかった。

嫌いになりたかった。


その数日後、ある友人から男性を紹介して欲しいと頼まれた。

以前から彼女には紹介していたからその続きだろう。

誰がいいかな、なんてメッセージアプリを開いて探す。

その時、彼の『恋人が欲しい』その言葉を思いだした。


ただ幸せになって欲しいだけだった。

本当に好きな人だから彼の為に何かしてあげたかった。

大切な友人の頼みも断れなかった。

心のどこかで上手くいくわけないってきっと思ってた。


でも彼らは見事付き合った。


その時頬を伝い流れる涙に初めて自分の気持ちを知った。

やっぱり私は彼のことが好きだった。

付き合ってほしくなかった。

上手くいってほしくなかった。

私の所に戻ってきて欲しかった。


でも何処かで気付いていた。

きっとあの人は私の所に戻って来ないと。

それでも好きでい続ける私は馬鹿なのかな。

でもそれでもいつか振り向いてくれることを信じてる。



友人からの惚気話を聞きながらモヤモヤする生活を過ごして2週間程経った頃。

2人が別れたことを聞いた。

『チャンスだ』不謹慎だがそう思った。

これで彼は私の所に戻って来てくれるかもしれない。

私を見てくれるかもしれない。

こんなに彼だけを見ていたんだから報われたっていいだろう。



でも彼は別の人を好きになった。



悲しかった。

辛かった。

苦しかった。


こんなにも好きなのに。

狂おしい程に好きなのに。

彼もそれを知っているのに。

私を見ようとはしてくれない。


もう私には彼を好きでい続けることは出来なくなっていた。

彼を諦めた時、私の世界は広がった。

彼だけだった世界では出会えない人に出会えた。

『大切にする』その言葉だけが私を救ってくれた。

彼ならば、彼だけは私を愛してくれるかもしれない。


私は彼と付き合うことになった。

彼との日々は幸せで今までの恋愛が普通じゃないことを悟った。

嬉しくて、嬉しくて。

幸せな日々だった。



そんな時メッセージアプリのタイムラインであの人の投稿を見つけた。

そこには『みんな変わってしまった。』とか『裏切られた。』とか『言葉だけの愛だった』など書いてあった。


私を先に裏切ったのはあなたなのに。

今更すぎるあの人の言葉は私を苦しめる。

私はいつまでもあなたに執着する女じゃなくなった。

ただそれだけなの。


お願いだからもう解放して。

私があなたを好きじゃなくなったからって怒らないで、嫉妬しないで、我儘言わないで。

愛してくれない人を好きでい続ける程に私は馬鹿な女じゃないの。

ごめんね。


さようなら


あなたが幸せになること、それが私の幸せです。

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