第11話弱み


今日は、午前中から仕事が忙しかった。少し、余裕が出来たところで休憩中にまりやが話にきた。


「受付嬢って大変だね。まぁまりやちゃんは美人さんだからね。」


「そんな事ないですよ。本当は事務とかしてたいんです。毎日、顔面笑顔でパリパリですよ。」


「美人良いな。」


「でも、みさきさんモテるじゃないですか。」


「え?モテた事ないよ。」


みさきは、目を丸くして言った。


「見ましたよ。こないだスタイルの良い男性と歩いてましたよね?」


「明さんだよ。あのお尻はしっぽさん。」


「マジですか?ネットであのレベルならわたしもしてみようかな。」


「まりやちゃんには必要ないよ。合コン行ったら1人勝ちって田中君が言ってたよ。」


まりやは少し、眉をひそめた。


「田中君こそ、どうでした?みさきさんの友達とは?」


「意外と」


「みさきさん!」


田中が現れた。


「どうまみとは上手くいってる?」


「あ…えぇ、まあ、」


「歯切れ悪くない?」


まりやに指摘されて困った顔を田中はした。



「まみとひなたをよろしくね。」


「みさきさん、ちょっと無責任すぎませんか?」


田中が珍しく真剣な顔をして言った。


「何が?」


「何がって…。」


「ハッキリ言いなよ!」


まりやからの言葉に田中は、



「俺には無理です。」


と答えた。


「え?」


「まみさんもひなたちゃんも可愛いですけどそれを俺が支えるのはさすがに無理っす…。すみません。」


「そっかぁ、仕方ないよね。」


少し、まみを不敏にみさきは思った。


「本人には言ったの?」


「まだ…です…。」


「そっか…。」





「それより、こないだ見ましたよ。」


少し、面白そうに田中は言った。


「何?」


「お尻はしっぽさんが他の女と歩いているところ。」


頭の中がみさきは、真っ白になった。


ちょうどそこで休憩時間が終わった。




午後になってもみさきは仕事が手に付かない状態になってしまった。


他の女?


会社の女かな?


サイトで会った女?


もしかして奥さん?


そんなわけない…。


でもそれが本当ならわたしは不倫相手?


不倫している女?






何年間も恋愛してきてないから相手を見抜く目はみさきにはなかった。


今日も明と会うけど聞き出せるかな?


聞いて早く別れた方が良いかな…。


仕事が、終わりいつも待ち合わせをしている場所へとみさきは急いだ。


明は、先に来ていた。


明は、笑顔を作って手を上げた。


嘘つきの顔には見えなかった。


「あのさ、明さんの家に行ってみたい。」


「良いよ、今日行こうか。」


え?あっさり?


ベッドの中でみさきは、思い切って聞いた。


ホテルを出て明の住んでいるマンションに到着した。


普通のマンションだった。古くもなければ新しくもない。


部屋の中は生活感のない綺麗な部屋。


2LDK、犬が吠えている。


ミニチュアダックスフンドの雌犬が明に飛び付いて来た。


「モモただいま。」


わたしの勘違いに終わった。

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