第3話お尻がしっぽさん


待ち合わせ場所は都内だった。


お互いに写メを送っていたのですぐに会えると思っていたがなかなか見つからない。


突然、お尻はしっぽさんですか?とは聞けない。変態だと思われる。


やっぱり写メ送ったのが不味かったかな…。


時間ぴったりになり諦めようと思って引き下がらないのがみさきなのである。


待ち合わせはこれからが根気の勝負とばかりに背筋を伸ばす。


「あの…。ライオンのキバさんですか?」


おっと、大人の雰囲気を醸し出すスーツ姿の男性がみさきに声をかけてきた。


「お尻がしっぽさんですか?」


「いや、お尻はしっぽです。」









お尻はしっぽさんは、40代前半くらいでスーツが似合う人だった。



「こんばんは、お待たせしました。」


「いえ、こちらこそ。」


2人で居酒屋に入った。


温厚な人だな…。


とみさきは感じでいた。


「今のお仕事は長いんですか?」


「はい、5年間営業事務をしております。」


「わたしは人事部長をしています。」


すごいな40代前半なのに部長とは。






「本名は、若林明です。」


「わたしは、香川みさきです。」


仕事の話や親の話をちゃんと若林は聞いてくれた。


みさきの若林に対しての好感度は上がった。


1つ1つの行動が輝いていた。


簡単言えばみさきは恋に落ちたのだ。


別れ際に


「また、お会い出来ますか?」


とみさきは若林に聞いた。


「良いですよ。」


心地いい返事だった。



若林と別れてみさきは有頂天女になった。


そんな時に電話…。


田中春馬からだった。


いつもなら無視するけど有頂天なのでとった。


【はい。】


【誰っすか?あのおっさんは?】


【え?見てたの?】


ちょっと怖いと思った。


【いや、たまたま見かけただけっすけど。】


【お尻はしっぽさんだよ。】


【あれがそうなんすか…】


少し、間があってじゃあおやすみっすと田中から電話を切った。

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