第10話焦る美由紀

 5-10

美由紀が台湾から帰ると病院では四月に駅伝大会が行われる事に成って、美由紀も参加する事に成ってしまうのだった。

加山も由美も参加に成って、参加者が居なかったのでくじ引きで決まったのだ。

だが走った経験が殆ど無い三人、そこにMMSの三人が目を着けて、元々体育会系の三人だったから、「陸上得意だから、コーチしますよ」と積極的だった。

朝夕のジョギング時間に交代で表れて親切を売るのだ。

徐々に「私達の頼みも一度聞いて欲しいな」

「何?」

「来月会社の集会が有るのだけれど、社員一人三人友達を連れて行かなければならないの、何も買わなくても良いから」

そう頼まれたら、参加しなければ仕方が無い、由美は丁度その日は夜勤に成っていた。

加山と美由紀、小池の三人が集会に参加するで話が纏まって、彼等はこれで目標は達成したのだ。

集会には女性の幹部が沢山来て居て、痒い場所に手の届く応対をして、MMSの虜にされてしまうから、所謂洗脳なのだ。


美由紀は廣一に「海外旅行は楽しいでしょう、次回はバンコクに行きたいわ」

「誰といくの?」

「何を言っているの?廣一さんに、決まっているわ、貴方と行ったら楽しいから最高よ」

その言葉に弱い廣一「じゃあ、一度調べて見るよ」

台湾から帰った翌月会うと、またお強請りをする美由紀なのだ。

もう殆ど通帳には残っていない、一千五百万の貯金が五百万以下に成っていた。

それでも廣一は美由紀と遊びに行きたかった。

話しも身体も合うからが理由で、始めはデリヘル嬢との遊びだったが、最近では美由紀を愛し始めている廣一なのだ。


二月に成って毎日の様にジョギングをして、六人が交互にペアで練習をしていた。

不思議と柴田と美由紀がペアに成る事が多い。

手取足取りの指導に、いつしか美由紀の心の中に柴田が住み着き始めていたのかも知れない。

三月には廣一とバンコクに旅行に成っていた。

喜ぶ素振りとは裏腹に、もうこの辺りでケジメを付けて廣一とは別れよう。

バンコクに行けばその後、機会が有れば別れようと美由紀は決めて、廣一ともうすぐ五年が経過しようとして、自分でも不思議な程長く続いたと思った。

三十歳の美由紀の頭には今年中には結婚を決めたい、由美が春には結婚するから焦っていたのだ。


二月の下旬遂に、MMSの集会に参加した三人、帰ると由美に話す内容が変わっていたのだ。

サプリの見本と化粧品の見本を貰ってご満悦の三人だった。

病院に勤めて居ながら、サプリの方が効果有ると三人は言うのだから、洗脳技術は相当なものだと由美は感心させられた。

意外と専門家の方が騙しやすいのかも知れないと由美は思った。


二月に成って、廣一もようやく携帯をスマホに機種変更をして、使い方を美由紀に教えて貰って、ゲームとかラインが出来る様に成った。

フェイスブックを美由紀は廣一に教えなかった。

それは横の繋がりで友達も仕事場も廣一に知られてしまうから、デリヘル勤務を引き摺る美由紀だった。

三月にはバンコク、四月には駅伝、五月には由美の結婚式とスケジュールが満載の美由紀なのだ。

柴田との練習はいつしか食事とか飲みに行く関係に発展して、徐々に心の中で存在が大きく成る。

当然見本品が無く成れば買う事を予想している三人の行動なのだ。

それはやがて病院の中に浸透して、多くの人が買ってくれるが柴田達の狙いだ。

柴田は美由紀の身体も狙って、整形美人の事も知らない、デリヘル勤務の事も知らない柴田には真面目な看護師に見えて、看護師の金と身体を狙っていた。


バンコクから帰ると美由紀は廣一と区切りを付けようと考えて、遠方への旅行を断る。

それでも何か理由が無ければ別れられないから、切掛け待ちの状態なのだ。

駅伝大会は無事に終わって、順位は真ん中で任務を果たした三人、サプリに化粧品と購入範囲が広くなる三人、駅伝大会の打ち上げ会で柴田幸広は美由紀に一度名古屋の町に行きませんか?地元だから、美味しい店も安い店も知っているからと誘った。

美由紀は柴田が自分に好意を持っていると解釈して、廣一と別れようと準備に入ったのだ。


その後もバンコク旅行とか、近郊の温泉旅行にお金を使った廣一は益々貯金が無く成っていた。

もう、遠方には行くのは無理だな、そう思っていると美由紀はまるでそれを知っていたかの様に、ハワイに行きたいとか、ヨーロッパに行きたいとか強請って、それは廣一が断る前提のお強請りで、何とか別れようと考えた策なのだ。

幸広は美由紀以外の二人を松本と宮沢に任せて、自分は美由紀から新たな販路を探そうとした。

ネズミ講なので上位の位置に居たら、少しは収入は有るが、子とか孫が出来ないとランクが上がらない。実情本職とするには難しいので、アルバイトとの掛け持ち状態に成るのだ。

事実三人は夜にはスナックのバーテンとか、コンビニでバイトをしていたが、その事実は絶対に喋らない。

儲かる!そして子供や孫を作れば大金持ちに成れると思わせるのだ。

それがネズミ、必ず限界が有るのに、友達も無くなってしまうのに、事実サプリとか化粧品の原価を聞くと思わず効果は?と聞きたくなるのだが、人間は欲には勝てないのかも知れないのだ。

誰でもリッチな生活がしてみたいのは世の常なのだ。

今では、法律の網を抜ける様に様々な工夫を会社もしている。

だからネズミとは云わないが同じ事をしているのだ。

練習のコーチの時から世話に成っているからと、最初の食事から美由紀がご馳走したから、飲みに行くのも食事もいつしか、美由紀が三対一の割合で出していた。

最近では五回に一度柴田が出すのだ。

それでも由美の結婚式から、美由紀の焦りは大きく成ったから、今、目の前の結婚対象の男性は柴田に成っていた。

唯、廣一と別れないのは、少しでもお金が欲しいからだった。

でももう気持ちは完全に柴田に傾いていたのだ。

些細な事で喧嘩に成ると云っても怒るのは美由紀の方なのだ。

廣一がSEXを迫ると毛嫌いする美由紀に成っていたのだ。

これまで何度となくSEXをしていたが、今は嫌とか朝は嫌とかに成る。

そして「男性って、SEXしか頭に無いの!私嫌だと言っているのに、もう帰るわ」そう言って都内のホテルからさっさと帰ってしまったのだ。

美由紀はまだ柴田との肉体関係が無かったのだが、気持ちが向いていたからその様な態度が出て来るのだ。

ホテルから帰った美由紀は、寮の友達とヤケ酒を飲んで、付き合わされた友人は「どうしたの?振られたの?」

「違うわ、私が振ったのよ」と叫くのだ。

気持ちは柴田、身体が廣一とアンバランスな状態なのだ。

柴田は品物を売る為に、美由紀の心を掴む秘訣を会社から伝授されていたから、中々肉体関係を持たないのだ。

完全に魚篭に入れてから、所詮柴田は自分では何も出来ない男で、女の機嫌を取って身体とお金を狙うハイエナの様な生活だ。




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