第19話 涙、涙、涙

「やめてーーーーー!」



そう叫んだとほぼ同時に、扉が開かれた。




一瞬にして、中村の手が止まった。




そこに立っているのは三浦さんだった。




俺は頭が真っ白になり、そこら中に散らばっている服を急いでかき集めて身なりを整えた。




バレてしまった、三浦さんに…




確かに、途中からは合意ではなかった…でも、自分がゲイで、淫らな男だって




バレてしまった。




そう思うと、今迄頑張って可愛い後輩を演じて来たのはなんだったんだろうと、涙が止まらなくなった。




だって、自分は端から諦めていたのに…三浦さんとどうこうとか、そういう事、諦めていたのに…振られる位なら、そう諦めていたのに…





子供の様に、いや、赤子の様にワンワンと泣く僕を、三浦さんは掛けよって優しく抱き締めてくれた。



どうして?こんな俺に優しくしてくれるの?




そう思い三浦さんを見上げる。




三浦さんは、




「大丈夫、全部分かってるから」




そう言ってもう一度、僕をぎゅっと強く抱き締めた。

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