第18話 三浦の本音

三浦は呆然とオフィスで繰り広げられている卑猥な光景を間の当たりに、取り付く島のないまま、ガラス張りのドア越しに立ち尽くしていた。



三浦は書類を忘れて取りに来た所だった。明日一番で来ようかとも迷ったが、どうしても今日中に確認しておきたい納品書類があったのだ。その選択がこの現状を招いてしまったのだった。




早坂と中村?




最初、二人だと分かったときは、一体全体どうなってるんだ、と驚きながらも、何してるんだ、こんな所で不謹慎だぞと、小言の一言でもいわなきゃいけないと思いながら、その期を逃してしまった。いや、ついつい見とれてしまっていたと言っていい。



何に?




それは勿論、早坂潤だった。



潤の嫌らしい卑猥な顔は、とても艶かしく、男性を刺激させるには十分な魅力を放っていた。


ノン毛と言われる部類に入る人種の垣根を飛び越えても、潤には何とも言えない性的に引き付けられる独特の臭気、魅力があった。



勿論三浦もその例外には当たら無かった。




潤には少し違ったように話したが、大学時代、若気のいたりで、友人とそう言う関係に陥った経験があった。だからかもしれない、免疫が出来た分、尚更、潤に惹かれる自分を感じていた。



でも自分は既婚者であり、もう家族がいる。大学生だった、あの頃と違って後先考えず、行動するには歳を取っていた。



そして、自分と同じ様な目で、早坂を見つめる中村にも気付いていた。だから、慰安旅行の時にそれとなく、早坂に忠告したつもりだったのだが…あの二人はそういう関係になったのか?




自惚れかもしれないが、勘違いかもしれないが、早坂はもしかしたら、自分に気があるのではと、三浦は思っていたのに…




一方でそんな考えに及びながらも、目の前に繰り広げられる光景に目を奪われていた。




淫らに揺れている早坂は想像した事は無かったが、いや、想像し慣れていたとしても、きっと誰もが度肝を抜かれるに違いない。三浦は一歩み動けないのとは逆に、自身の中に熱い感じたことのない気持ちが込み上げてくるのを感じていた。



いけない誘惑に引きずり困れそうになった時、事態が一辺した。



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