第15話 慰安旅行当日9

中村は俺をいきなり抱き締めて、力のままキスをしてきた。強引に唇を舌でこじ開けるように愛撫して、俺の舌を吸ってきた。



「っんーーーーーーー!」




声にならない声で止めてと言おうとしたが無理だった。身体で抵抗しても、元サッカー部の中村に文科系の俺が力で敵うわけもない。



強引なキスは続き、次に中村は右手を俺の局部に手を伸ばした。



それだけは!…俺は中村の右手から逃れるべく、身体をよじらせて抵抗を見せる。



時間にしてどれ位だろう、永遠に思える程の十数分間、俺は抵抗し続けた。



でも、無造作にでもまさぐられれば、反応してしまうのは男の性って奴で…




「何だ、良くなってきてるじゃん…三浦さんが好きなんだろ?…ちくしょう、あんなに楽しそうに、でも俺に触れても反応しちゃうんだ」



ばれてる!?俺が三浦さんを好きな事!?それに、違うんだ!これは物理的なもので、気持ちは何一つ伴ってないんだからー!



でも、もう僕には、そう言う元気は、無かった。




もう、いいや。





どうせ、俺はいつだって、欲しい物は手に入らない。








気付いた時は中村の手の中で、俺は果てていた。




それから中村は自身のものをも満足させた。




「誰にも言うなよ。言ったら、三浦さん事を想ってるって皆に言ってやるからな。」




そう言うと中村は部屋を出ていった。





泣きながら、汚れた局部を拭いて身なりを整えた。



何をやってるんだろう、俺は。




大の男が、半ばレイプまがいの事をされて、挙げ句の果てに弱味迄握られて…。








最低、最悪の慰安旅行はこうして幕を下ろした。

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