第19話 サヨナラと偶然
「久しぶりだね、こうやって話すの!」
「うん。ずっと勉強だったからねー」
「結果くるの怖いな」
「ほんとだよねー。もう来なくていいって感じ」
それから1時間くらいずっと話し続けた。
「わたし、会場に向かう時に高峰さんに会った」
「え?」
由梨には高峰さんの事を話した。別れたという事だけを。
「そうなんだ…。向こうは何か言ってた?」
「多分わたしに気づいてない」
「そっか…少し話しづらいんだけどね」
「離婚したの。その2人」
「へ……?いつ…?」
「去年の5月頃。3月の初めに、やっちゃんがその人の部屋の掃除をしていたら、離婚届が入っていたんだって」
5月頃って…あの人と会わなくなってから1ヶ月後くらいだ…。そして3月の初めって、わたしその時あの人と連絡は取っていなかったはず。
「やっちゃんがどうして?って聞いたらその人ね…」
「他に愛した人ができた」
「そう言ったんだって。皆んなはヒドイって言ってた。もちろん、私も思った。でもその愛した人が親友だなんて言えなかった…」
「初めて聞いた…」
「え?離婚届の話とか出てこなかったの?」
「うん…何も言ってなかった……」
頭が追いつかない。だってあの時追いかけてもこなかった。いや、もう終わったことだ。
「遥…いいの?連絡しなくて」
「うん。もういいの。終わったことだし」
「そっか…」
—卒業式
「ほんとに良かったねー!受かってて!」
「ほんとだよー、由梨すごいじゃん!」
「へへ、ありがと。そういう遥もすごいよ!」
無事、2人とも大学へ合格し、春からは大学生だ。
「あーあ。でもこれからは遥と別々…うっ」
「もー、泣かないでよ。こっちまで泣けてくるじゃん」
「ずっと一緒にいたいよー」
「ちょっと由梨!鼻水出てる!ほらティッシュ!!」
「あでぃがどー」
「大学の場所近いし、毎日会おうとしたら会えるから!」
「ゔん!ぞうだねー」
そう言っても由梨の目からは涙が止まらない。
「由梨、ありがとう。こんなわたしと一緒にいてくれて」
「こっちがありがとうだよー!」
由梨はこれからもずっとわたしのたった1人親友だ。
帰り道、由梨と2人で帰ろうということになった。話しながら帰っていると、先に由梨の家に着いてしまった。
「はあー、これで高校生活も終わりかー」
「ほんっと、あっという間だったなー」
そこからまた20分くらいずっと話してた。
「ほら!寒いしそろそろ家に入りなよ」
「うん、それじゃあ!連絡毎日するね!」
「彼氏かい」
「彼氏でーす」
最後は笑いながらお別れした。
由梨とお別れしてから一人で家に帰る途中、強風が吹いてきた。その時、前にいた人の定期入れが落ちた。
「あの!これ落ちましたよ!」
「え?」
その人が振り向いた。
嘘でしょ
あの人だ
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