第18話 あなたはわたしの存在に気づいていましたか?
—3ヶ月後
夏休みに入った。行く大学も両親や先生と相談して決めた。
ピロン♪
由梨だ。
"大学落ちる気しかしないんだけど😫"
"受験生に落ちるって言わないでよ😠"
"ごめん笑笑てか私も受験生だし!"
"ほんとだ笑"
"今勉強してる?"
"してるよ^_^"
"やっぱり!私今ゲーム中🎮"
"それは落ちるわ🙄"
"ちょっと!受験生に落ちるって言わないで😡"
"自分だって言ってたじゃん!笑"
こんなやり取りをほぼ毎日している。勉強の息抜きになるから楽しい。
あの人の連絡先は全て消した。あの日の夜、帰ってきて普通にお母さんのご飯を食べてお風呂に入って、寝る前に削除した。手が勝手に動いた。いや、自分の意思で消した。もう思い出すことはない。多分。
—そして新年が明けてから一ヶ月後、受験当日がやってきた。
「大丈夫?ちゃんと会場に行ける?」
「大丈夫だよ。会場っていってもすぐ近くだし。あと、なんでお母さんの方が緊張してるの?」
「お母さん、昨日から緊張してるんだよ。そういうお父さんも緊張してるけどな」
「お父さんまで緊張しなくていいよ」
「あ、そろそろ時間じゃない?」
「ほんとだ」
靴を履くと、なんだか緊張してきた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい!気をつけてね!!」
「はーい」
なんだろう。歩いているとさらに緊張してきて歩き方がおかしくなる。その時、前から走ってきたサラリーマンとぶつかった。
「すみません」
相手は、そう言ってからよほど急いでいたのかこちらの顔も見ずに走って行った。
ん?この匂いどっかで嗅いだことある…。思い出せそうで出さない。モヤモヤする。
そうこうしているうちに会場に着いた。中には親に送ってきてもらっている人や、さらに恋人と来ている人もいた。なんでここに恋人を連れてくるの?ちょっとわからない。そんなこと考えてる暇はない。よし、行こう。
中に入ると皆緊張した様子の人たちがたくさんいる。わたしも準備しなきゃ。
試験が終わった。勉強してた所が結構出てきたのでなんとか点は取れたはず…。だけど自信は無い。
家に帰ると、お母さんとお父さんが家にいた。
「あれ?仕事は?」
「こんな大事な時に仕事なんか入れられないでしょ!」
「どうだったんだ?試験」
「うーん、なんとかできたけど自信はない」
「できたなら良かったじゃない!後は結果ね」
「うん。着替えてくるね」
部屋に入って考えた。あの匂い。思い出せない。絶対に嗅いだことがある。サラリーマンの人と知り合いだったっけ…?えっと、あ…
思い出した
あの匂いだ
あの人の匂い。
まさかまた会ってたなんて…向こうは気づいた?でも、こっち見てなかったしな…
ピロン♪
"どうだった?試験"
"私はバッチグーだったよ!自信はないけど😭"
"わたしも一緒だよ😭"
"おー友よ!明日一緒に遊べる?"
"遊べるよ!"
そして、約束の時間を決めて由梨の家で遊ぶことになった。
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