第12話 ドラマのような展開はこの世にあるのだろうか?

「やばい!来週だよテスト!焦りがハンパないんだけど!」

 由梨の焦りがこっちまで伝わる。

「大丈夫だって。毎日勉強していればテストで点は取れるから」

「遥は頭がいいからそんなことが言えるんだよー!」

「由梨だって、この前の数学いい点取ってたじゃん」

「そう!なぜか数学だけはできるの。意味不明」

「じゃあ、今日うちで勉強会する?」

「するー!」



「おじゃましまーす」

「どーぞー」

「遥んちってキレイだよね!遥の部屋以外は」

「ちょっと!最近キレイにしてるんだから」

 わたしの部屋は二階にある。

「どれどれー?うん、意外とキレイ!」

「意外ってなによ」

「ワハハ!!ゴメンゴメン!冗談!」



「さあ、始めよっか」

「じゃあまず、1番苦手な化学から教えてください!」

「これはまず、この公式を使って、こうなって………………」

「なるほど!!遥って教え方上手だよね!」

「そう?」

「うん!教師とか向いてるんじゃない?」

「教師…」

 確かにわたしは教えることが好き。自分の勉強にもなるし。

「教師か…ちょっといいかもしれない」



 プルルルルプルルルル

「遥の電話じゃない?」

「あ、ほんとだ」

 着信を見てみると、高峰 彰と書かれてた。

「ごめん、ちょっと待ってて」

「うん」



"もしもし?遥?"

 "はい、どうしたんで…どうしたの?"

"ハハハ、敬語でいいよ"

 "じゃあ、敬語で…。それで、どうしたんですか?"

"明後日の日曜暇?"

 "あ、すみません…来週テストなんですよ"

"そっかー、じゃあまた今度だな"

 "はい……"

"また予定決まったら言うわ。テスト頑張って、じゃあね"

 "はい…それじゃあ"

 行きたかったな…



「ゴメンね、始めよっか」

「うん……」

 由梨の顔が曇っている。

「どうしたの?」

「遥、あの人とどうなったの…?」

 由梨と彰さんの話をするのは久しぶり。

「あ……うん…付き合うことに…なった」

「そっか……」

 少し気まずくなってきた。

「ねえ!ここの数学のところ教えてよ。わたしいつもここが分からないんだよねー」

「うん………」

「由梨…話したいことがあるなら言ってみて」

 由梨が黙ってしまった。

「ねえ、由…」

 言いかけた途端、由梨が話し始めた。

「遥が好きな、高峰彰って人…」



「わたしの従姉妹いとこの旦那なの…」



「だから、お願い………………諦めて」









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