第7話 始まったものは止めることができない
「ちょっと!!
「な、なに?」
昼休み、教室で本を読んでいると、
由梨は、キラキラした目で聞いてきた。
「ねえ!恋に落ちた相手って誰!?」
「ちょっと声大きい!…いや、まだ落ちたっていうか…その一歩手前?」
「そんなの落ちたのと一緒だよ!で、相手は!?バイトの人とか!」
—まだ声大きいし…
「いや、バイトの人っていうか…よく来るお客さん?」
「客?なんで!?」
わたしは由梨に
「なるほどー。てかさ、その…高峰さん?サラリーマンなんでしょ?」
「多分」
「結婚とか…してるんじゃない?」
「あ…聞くのすっかり忘れてた」
「そこ確認しないと!」
そして由梨は小声で言った。
「一歩間違えたら不倫だよ!?」
「でもどうしよう…結婚してたら」
「諦めるっていう方法しかないんじゃない?とりあえず、会ったら聞く!そしてわたしに報告!」
—2日後
今日もバイトだ。お客さんが何人かいるからレジに入った。でもそれより、
あー。由梨のせいで頭が全部結婚の文字。どうしよう、会ったらなんて聞けばいいんだ。
"あの!高峰さんて、結婚してるんですか?"
これが1番ベスト?そうこう考えているうちにお客さんがきた。
「いらっしゃいませー」
ピッピッ
「862円です」
「ありがとうございましたー」
はあー。ダメだ。なんか頭が回らない。
またお客さんがきた。
「いらっしゃいませー」
ピッピッ
「743円です」
「遥ちゃんだ」
ん?あ、高峰さん…
「こんにちは」
「なんか今日疲れてる?」
「いえ、そんなことないです」
「そ、これ差し入れな」
と言ってホットレモンを貰った。
「あ。ありがとうございましたー」
貰って嬉しい…じゃなくて!
聞くの忘れてたー!!
その日の夜、由梨からLINEがきた。
"今日会った?"
"うん、会った"
"結婚してるって言ってた?"
"それが…聞くの忘れてた"
"ちょっと!!!何してるの!そこ1番肝心じゃん!"
"ごめんー😫会ったの一瞬だったから"
"今度会ったら絶対聞くんだよ👂"
"わかった、じゃあおやすみ😴"
"おやすみー😴"
そして次の日の夜、また母からロンの散歩に行ってこいと言われ、今外にいる。
また疲れたからベンチで休もうとしたら高峰さんがいた。
わたしは唐突に聞いた。
「あの!高峰さんて、結婚してるんですか」
「してるよ」
あ、やばい。どうしよう由梨。
諦められそうにない。
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