第5話 人間は自分と似ている異性を好きになる

 春休みが終わり、新学期が始まった。


はると同じクラスかなー?」

「どうだろう、人が混んでて全然見えない!」

 人に埋もれながらも必死にクラス表を見た。

「あ、一緒だ!!」

「ほんとだ!!やったー!!!!」

 由梨ゆうりはとても嬉しそう。わたしも嬉しい。



 進路を決めるにあたって、働くとはどういうことなのかということで母にアルバイトを勧められた。

 そして、家から近いコンビニを選んだ。

 無事面接も受かり働くことになった。



「いらっしゃいませー」

 レジの打ち方などを教えてもらい、ようやくスムーズにできるようになってきた。

「遥ちゃん、レジ早くなってきてるね」

 そう言ってくれたのは、3つ年上で女性の村沢むらさわさんだ。村沢さんはここでアルバイトを3年していて、デザインの学校に行っていると言っていた。

「ありがとうございます。村沢さんのレジはすごく早くて尊敬します」

「ありがとう、そこまで褒めてくれるの遥ちゃんしかいないよ。あら、お客さん来ちゃった。よし!頑張ろうね!」

 村沢さんは、とても優しいお姉さんのようだ。



「遥、今日もバイトー?」

「うん、ごめんね。明日はシフト入ってないから」

「わかった!じゃあ、頑張って!」

 最近、バイトがあり由梨と一緒に帰れてない。ちょっと寂しそう。



「遥ちゃーん、お茶無くなってきたから補充しておいてー」

「はーい!」

 補充しているとお客さんがきた。

 レジに誰もいないので入った。

「いらっしゃいませー、413円です」



「あれ?シャンプーの子じゃん」



 え?シャンプーの子?

 あ、前にコンビニにでぶつかって、ドラッグストアで困ってた人だ。

「あ、はい、そうです。」

 いまいち顔を見ていなかったから分からなかった。

「ここでバイトしてんの?」

「はい」

 "お疲れー"といって、さっき購入したチョコを置いていってくれた。

 ん?なんか胸がトクトクいってる。

 違う違う、これはただ優しくしてもらったからだ。

 そう自分に言い聞かせた。


 -3日後

 レジを打っていてたらドアが開いた。

「いらっしゃいませー」

 あれ、あの人だ。

 レジに来たので、また"いらっしゃいませー"と言い、金額を伝えた。

「あ、シャンプーの子」

 —シャンプーの子って覚えられてるし

「どうも」

「バイト始めてどんくらいなの?」

「2ヶ月くらいです、ありがとうございましたー」

 "ふーん、そうなんだ。お疲れー"と言って、例のスーツの男性は、また購入したチョコを置いていってくれた。


 あれ?あの人携帯置いてってる!なんで必需品を忘れるんだろう?

 意外とドジ?

 そんなこと思ってないでさっさと届けなきゃ









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る