第3話 中身を重視というが大抵の人間は見た目で判断する

 やばい!!!!登校三日目で遅刻なんて!

今日は母親も父親も朝から仕事でいないんだった。しかも、一人っ子だから自分で起きなきゃいけない。

「どうしようどうしようどうしよう!」

起きたのは8時だ。学校は8時30分で門が閉まる。

「目覚ましかけといたのに〜」

とりあえず着替えをして、歯を磨くんだ。

よし、まだ8時8分。

家から学校までは15分くらいかかる。

「髪ボッサボサなんだけど!」

こんな髪していったら笑い者になってしまう。

 8時15分。寝癖を直すのに7分もかかってしまった。女子の朝は戦争と何かの雑誌に載ってた。

飛び抜けるように家を出て鍵を閉めた。

運動神経はまあまあだが、今まで生きてきた中で1番速く走っている。

あと少し!!

「はぁ…はぁ……間に合った……」

ギリギリ29分だ。

「新入生が三日目で遅刻かー?しっかりしろよー」

まだ名前を覚えてない先生から言われた。この先生、確か怖い人で有名だったはず。苦手だ。


 教室に入るとみんなから視線を浴び、その後何事もなかったようにそれぞれ周りの人と喋り始めた。私は自分の席に座り、前の席に座っている女子生徒に

「遥ちゃん、大丈夫?汗びっしょり。これ貸してあげるよ。」

と言われた。ありがとうと伝えて、可愛いキャラクターのタオルを受け取った。

「洗濯して返すね」

「うん、ありがとう」

なんて優しい子だと心の中で思った。


 この子は咲藤さくふじ由梨ゆうりといって、小・中とバレーをやっていたと最初の自己紹介で言っていた。前の席ということもあって、仲良くなった。バレー部といったら髪が短いイメージがあったけど、由梨はけっこう長い。


 その後は、けっこう仲良くなり由梨と放課後一緒に帰ったり、寄り道でゲーセンなどに行き、世間でいう"リア充"みたいな感じだ。私は部活に入らなかったが、それならばと由梨も部活に入らなかった。入らなくてよかったのかなとたまに思うが、本人が決めたことだしあまり考えないことにした。


 由梨とは話しが合うし、食も合う。

一緒にいて楽しいと思えるのは由梨が初めてだ。

「由梨、今日どこ行く?」

「そーだなー、うーん、あっ!あそこはどう!?最近できたパン屋さん!あそこならテーブルもあるから食べれるし!」

「いいね!行こう!」

由梨は食の情報だけは早い。


 由梨は学年で1、2を争うくらい可愛い。男子の彼女を見る視線はハートになっている。

「なんか私、顔変?」

「違うよ、由梨が可愛いからみんな見てるんだよ」

「可愛くないよ!私の部屋すっごい汚いし、いびきはかくし。」

私は笑いながら、

「意外!部屋汚いんだ!私と一緒だね」

「遥ちゃんも汚いの!?」

「そうだ。今日、部屋の写真送ってよ!どっちの部屋が汚いか勝負だ!!」

「望むところだ!」

と私たちは無意味な勝負をした。

結果はドロー。どっちもどっちだった。


 こんなくだらないことをしながら私たちは高校2年生になった。

そろそろ進路も決めていかなければならない。少しずつ焦りながら春休みに入った。


ここで私の人生を変える人と出会ってしまった。







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