第2話 女の友情は簡単に壊れ崩れる
仁奈子から電話がきた。耳にあてると、かすかなすすり声が聞こえた。
「仁奈子…どうしたの?」
「やばい……うっ…どうしよう……、なんかね吐き気したりお腹痛いなと思ったの。なんでだろうと思って検索したら…ううっ…」
「それで、なんて書いてあったの?」
まさかと思った。
「妊娠の可能性があるって…。そして検査するやつを買ったの……」
「え………」
戸惑いながら私は続けた。
「け、結果は?」
「陽性だったの………うっ…どうしよう遥……うわわわあん!!!!」
それから仁奈子は電話越しでも分かるくらい泣きじゃくった。私は何と言葉を掛けていいかわからず、ただその声を聴いていた。
でも、私にはもう1つ聞きたいことがあった。思い切って聞いた。
「ねえ……、父親って………誰なの?」
仁奈子はかすかな声でこう答えた。
「櫻澤」
え、何を言っているの仁奈子は。私は心臓の音が聴こえるくらい動揺していた。
もう一度、声を震わせながら聞いた。
「ごめん、ちょっと聞こえなかった…。もう一回言ってくれない…?」
「だか……だからね…櫻澤なの。どうしよう遥………うっ…」
どうして?どうして櫻澤なの?仁奈子は私の恋を応援してくれるって言ったじゃん。なのに、櫻澤と関係を持ってたって事でしょ?いつから?私はずっと仁奈子に騙されてたんだ。心がこんなに痛くなったのは初めてだ。強く、締め付けられている。
そうか女の友情なんてこの世には存在しないって誰かが言っていた。
私は何も言わず電話をそのまま切った。
それから、相川仁奈子は学校を辞め、その後は知らない。噂では産んだとか堕ろしたとかあったけど、今の私にはどうでもよかった。櫻澤は学校には来ているが、孤立している。私には関係ない。彼らがやったことは取り返しのつかないものだ。過去には戻れない。
そして、私は高校1年生になった。
これからどんなことが待っているのだろう。
ワクワクしながら入学式に向かった。
そして誓った。
私の好きな曲のタイトルのように。
「もう恋なんてしない」
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