謎の転校生


髪をセットし終えた涼弥は、緊張と期待を胸に教室のドアを開けた。

40人いたクラスから15人がいなくなって、教室はずいぶん広く感じられる。

ベランダ側の、一番後ろの席が涼弥の席だ、しかしそこには、先ほどの黒髪美少女が座っていた。

紙のカバーのかぶせられた本をめくる少女に恐る恐る近づく。


「あの、そこ俺の席なんですけど...」


無言でこちらを見上げて数秒間の沈黙が流れる。

それから彼女は右隣の机に視線を移した。


「あなたの席、そっちじゃなかったの。先生に言われたんだけど。」


(あ、そういえば席替えした当初はそうだったな。隣の席が誰もいない席だったから勝手に移動したんだった)


「そ。そうだった、あはは」


だまって視線を本へ戻す少女

(まるで俺との会話を拒んでいるような、いや違うか、彼女は俺が教室に入って来た時からこんな雰囲気だった。きっと俺達との会話を拒んでるんだ)


大人しく席に着く涼弥の前を、クリーム色の髪をした男が通った。


「カエデ、いい人は見つかった?」


美少女になれなれしく話しかけるこいつも転校生だ

カエデ「いいえ、いなかったわ」


(いい人がいなかった?誰かを探してるのか)


「それじゃあもう、ここにようはないね。もういこうか」


クリーム色の髪をした男は美少女にそういうと、美少女は本をしまい席を立った。

このままでは、美少女がいなくなってしまう。なぜかふとそう思った涼弥は男の手首をつかんでいた。


「待て」


驚いて目を見開いているクリーム色の髪をした青年


「へぇ、君、言うじゃん」


(なんで俺はこいつの手首握っちまったんだ。なんか分かんねえけど、黒髪美少女がいなくなっちまうと思ったからだ。バカか俺は)


「あ、いや、すまん」


手を放す


じっと涼弥の目を見つめる青みがかった目

「カエデ、やっぱり僕は少し残ろうと思う」


カエデ「シュウが残るのなら、私も残ります」


(俺を見て意見を変えたよな。じゃあ俺がこいつらの探してる人物になりえるってことか。良く分からないが黒髪美少女がいなくならないのなら万事OKだ)


真人「なになに、お前らもう仲良くなってんの」


そこに真人が入って来た。


「真人」


真人「俺は真人、よろしくな」


シュウ「僕のことはシュウと読んでくれ、こいつはカエデ」


カエデは相変わらず本を読んでいる。

そこに宏太も混ざって来たので俺の席の前は軽く賑わった。




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