エピローグ 新たな敵


 二人が祝杯をあげているのと同じ時間。


「社長……本当によろしかったのですか?」

「構わないよ。

 噂通りの男なら、一度会ってみたい」

「……かしこまりました」


 真黒カンパニー本社ではこんな会話が交わされていた。

 社著秘書である妙齢の女性が部屋を去っていく。

 部屋に残された人影は一人。


「少しは、私を楽しませてくれる相手ならいいのだけどね」


 まるで独り言のように口を開く。

 当然、返事をするものは、


「……どうかしら?

 だけど相手が本当に力を使えるのなら、油断しないほうがいいわよ?」


 唐突に影の中から人影が現れた。

 人のような姿をしているが、頭部には角が生えている。

 その姿を見た者は恐らく――悪魔のようだと答えるかもしれない。


「油断などないさ。

 どんな相手だろうと、私はただ勝利するのみなのだから」

「ふふっ……いいわ。

 ワタシは弱者が破滅する姿が見れれば、それで満足だから」


 不穏な言葉を交わしている二人が見つめる先には。

 社 白真と名前の書かれた履歴書が置かれているのだった。



 第二章 完



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