依存

 徐々に気管が締まっていく。

 空気を吐いて吸うだけの簡単な行為さえ苦しい。

 見えない縄が勝手に私の首を絞め上げる。

 細かく肌が切り裂かれていく。

 身動きを取ることさえ身体中が痛んで怖い。

 そこに言葉をとどめを刺した。

 擦れ違う人達、関わる人達、取り巻く環境にいる人々が皆んな何も考えずぐさり。

 目に見えて傷は無くても精神を蝕んでボロボロにする。

 でもそれが私の中の普通。

 生まれてから変わらない日常。

 寧ろそれこそが私の生きる上での運命。

「先輩、最近元気ないですね」

 拒絶していたはずなのに、いつの間にか縋ってしまった。傷つききった私をいたわる存在に。

「……そう見える?」

 隣に座った彼に寄り掛かって体重を預けた。

 自分じゃない人の体温に少し安心を覚える。

「そうかもしれない。こんな先輩なんてかっこ悪いよね」

「格好良いですよ」

 今まで何度となくした筈のぎこちない会話。

 その中に本音が混じり始めていた。

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