嫌悪
潰れて壊れて死んだ。
私の知らない間に勝手に手の届かないところに行ってしまった。
湿った空気に混じった鼻をつく酷い匂い。
あんな醜い物体が私の愛した姉であるのか。
「ひっ……!」
ただ声にならない絶叫をあげ後退って、自分の体を強く抱き締めた。
「緋音先輩!しっかりして下さい。一度離れましょう」
誰か分からない男子生徒に手を掴まれ引き寄せられた。身体中が重くて動けない。
嫌なのに横たわる肢体に視線が這いよく似た顔と目が合う。
正気が抜けた不気味な瞳は私の顔に焦点を結んでいた。まるで私の内心を見透かすように私の奥底を覗いている。
「ごめん……ごめん、なさ……」
震える声で謝罪の言葉を口にした。
微かに感じていた喜びの感情を否定出来ずに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます