リピート
肌を焼く蒸し暑い夏。
学校の屋上は涼やかな風が吹く。
「蒼依はさ、私のことどう思ってる?」
「はぁ……?突然どうしたの」
思ってもみなかった姉の問いにすぐには答えられなかった。逡巡の後に思い口を開いた。
「好きだよ。多分……私には勿体ない良い姉」
「はは……可愛いこと言うなあ」
照れ笑いをして指で毛先をくるくると弄ぶ。
子供の頃からの癖。
「ありがとね、蒼依」
「?」
意図のわからない感謝の言葉。
宙に浮いた言葉は夏の空気に溶けていく。
よく似た顔が目を細めて笑いかけた。
また、一瞬だけ音が反響してなく無くなった。
馬鹿馬鹿しい、下らない夢。
あの時のことを今更思い出しても意味なんてないのに。
「はは……これじゃ同じじゃん」
鏡に映った自分を見て崩れ落ちた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます