トイレで読む、トイレのためのトイレ小説

増えたらいいのにな

　増えたらいいのにな。

　並ばずに入れるトイレ。

　ギリギリの時って、このまま並ぶか別のところを探すか悩むよね。

　通勤ラッシュ時の自動改札並みに処理スピードのあるトイレがいいな。

　次から次へと流れるように列が進んでいく。

　そしたらそこまで並ばなくてもトイレに入れるのに。

　あ。でもたまに、列が詰まっちゃうこともあるかもね。

　トイレだけに。

　増えたらいいのにな。

　個室の小便器。

　してるとき横から見えると思うと落ち着かないんだよね。

　新幹線のトイレのように個室になった小便器。

　それかシャワールームのように半個室になったトイレがいいな。

　そしたらもう少しプライバシーが確保されるのに。

　増えたらいいのにな。

　荷物掛けのフックの数。

　フックがひとつだとたくさん掛けられないし、

　掛ける量が多いと、最後に掛けたコートが落ちてきそうで心配なのよね。

　コートとバッグと買い物した紙袋が掛けられるように二、三個フックがあるといいな。

　床とか棚にはあまり置きたくないから、フックがあるといいのに。

　そしたらもっと買い物しちゃうのに。

　増えたらいいのにな。

　清潔なトイレ。

　サニタリーボックスからはみ出してる物とか、

　流さないでぷかぷか浮かんでいる物とか、

　飲みかけのペットボトルが置いてあったりとか、

　トイレットペーパーの切れ端が散らかっている床とか。

　もっと綺麗なトイレが増えたらいいのにな。

　あ。でもこれって使う人の心配りが増えたらいいのだな。

　増えたらいいのにな。

　なにも気にせず入れるトイレ。

　綺麗とか汚いとか、

　和式とか洋式とか、

　トイレットペーパーがあるとかないとか、

　オムツ交換ができるとかできないとか、

　広いスペースがあるとかないとか、

　洗浄設備があるとかないとか、

　大人とか子供とか、

　見た目とか気苦労とか、

　そういうのなにも気にせず誰でも入れるトイレ。

　増えたらいいな。

　もっとたくさん。