第16話 クエスト16 そうだ、王都に行こう!
「うーん、何かいい案がないかなぁ、」
「そうだな・・・」
「んー、なのです。」
「・・・・zzzZ」
「一つ、あると言えば有ります。」
おぉ、マリアはさすがだな!困った時のマリアさんですよ!それにしてもユティ寝てないか?見た目的には、一番幼いから仕方ないのかもしれんが。
「頼りになるなマリアは。それは一体どんな案だ?」
「いっそのこと、王都へ向かってはどうでしょうか。まず依頼を受け、メルの身柄を引き渡す名目で皆で王都に行きましょう。そして、ご両親に旅に出る旨を伝えればよろしいかと。」
うーん、それはどうだろうか、うまくいけば少なくとも普通の人に襲われる心配はなくなる・・・か?
「!それです!それなのです! おかねが・・ゲフンゲフン、パーティとして行動もできるのです!」
本音ダダ漏れじゃねぇか。まぁリリのお金事情は本当に厳しいらしいからな、わからなくはないが、お前神に仕えるプリーストなのにそんなに欲まみれでいいのか?
「ふむ、それなら私も力になれそうだ、王都と、王城へ入るための手続きはしておこう。」
ん?ちょっと待てよ?俺このままだと王都に逆戻り?そ、それはやだなぁ、せっかく楽しくなってきたとこなのに。
「なぁ、王都に行かなきゃダメか?俺は戻りたくないんだが・・」
「ですが、このままでは永遠に襲われますよ? 毎日襲われていては身が持ちませんし。それに、ご両親、陛下達を説得してまた出てくれば良いじゃないですか。」
う、うーむ。一理あるな、なんだったら今度こそ社会的に俺を殺そう。そして自由になるんだ!
「はぁ、分かったよ、じゃあ各自、旅に出る準備をしてくれ、王都まで結構離れてるからな。」
「はいなのです!お菓子を買ってくるのです!」
「うむ。じゃあ私は手続き等をしてくるのでな、また後で落ち合おう。出発はいつだ?」
「そうだな、できるだけ早めに行こう、明日行ければそれで行こう。」
「了解した。では、明日の昼くらいの馬車の席を確保しておいてくれ。」
「では、その役目はわたくしが。」
こうして、着々と旅に出る準備が進められ、一応受付嬢のレナさんに事情を説明した。
俺が王族ということにとても驚いていたが、
いつもと変わらず明るい笑顔を浮かべていた。俺の癒しはスライムのムゥと、レナさんだけです。ありがとうございます。
連絡用の魔晶石を使って、ギルド間で連絡を取り合い、俺の指名手配については取り下げてもらった。そのせいで、王城に連絡が入ることになるだろうが、まぁどうせ会うんだから別に良いか。
指名手配は多額の報酬金がかけられていたので冒険者の皆は、目に見えてがっくりしていた。
次の日、俺たちは予定通り昼頃に出発することになった。シルフィは、なんだかそわそわしているが、トイレにでも行きたいのだろうか。
「おい、シルフィ」
「な、なんだ?」
「はぁ、俺たちの仲だろう?ほら、遠慮なんかするな」
「う、うむ。そうだな、私としたことが仲間に遠慮をいていたようだ。わかっ・・」
「まったく、ピクニックじゃないんだから、トイレくらい行ってこいよな。」
「なっ!ち、ちがうわ!そんなことは気にしておらん!」
バキッ
顔を真っ赤にしたシルフィに殴られ俺は空を飛んだ。あぁ、これが鳥の気持ちかぁ。
リリに、ヒールをかけてもらいながら出発した。旅の出発前に怪我をするとは前代未聞である。
俺たちは馬車に乗り、王都へ向かう。かなり距離があるので1日、2日は野宿することになるだろう。
空は一面雲ひとつなく、あたり一面荒野で見晴らしも良い。涼しい風が吹き爽やかな旅路となりそうだ。なので俺はつい、言葉にしてしまった。
「それにしてもいい天気だなぁ、魔物もいそうにないし、安全な旅が送れそうだな!」
「な!急に何を言うんだメル殿!それはフラグだろう!」
?なんだその言葉、初めて聞いたぞ。
「や、やばいのです!こんな盛大にフラグを立てる人がいるとは思わなかったです!」
「メル様がここまでアホだとは思いませんでした。皆様戦闘の準備を。」
「・・・メル、後で・・・おしおき・・!」
「おいおい、何だってんだ?俺が何したって言うんだよ?」
まだ眠そうなユティまでもが怒り気味とはなかなか珍しいな。特に変なことをしたわけではないと思うんだけど。
「馬鹿者!メル殿は、勇者の日記を記した本を読んだことがないのか?! 冒険者や旅をする商人には一度は読むのが、必須と言われる本に、注意事項としてかいて有るだろう!」
んん?勇者の日記?そんなもん家にあったかな・・・あ!もしかしてあれか?
「あの妙にカラフルな20センチくらいの本か?」
「ん?カラフルだと? もしやそれは原本じゃないのか! それはメル殿のうちにあるのか?ぜひ読ませてくれ!」
世に出回ってるのは何処ぞの誰かが写し直した模造品らしい。
え、まじか・・・あれ、書いてる内容もふざけたものだし、見た目も怪しかったからなんか危ないやつかと思ってたな・・・
「な、なぁ、それってもしかして大切なやつ?」
「何を言っている。初代国王こと勇者の遺物だぞ。国宝もとい重要な過去の遺産だろう。お、おい、メル殿、なぜそんなに汗をかいている?目が泳いでいる? なぁ、原本はあるんだろうな?!燃やしたりしてないよな?」
「あー、あの、有るには有るぞ、でも怪しそうだったから、怪しそうなお店に売って、旅の資金にしちゃった☆」
てへっと、舌を出しドジっ子アピールをしてみる。このお茶目な感じにシルフィもイチコロだろう。
「なぁぁぁ!? アホか!メル殿はアホなのか!何処だ!何処で売った!?おい、行者よ!行き先変更だ! 国の宝が!歴史が消えてしまう!早く!」
あれ全然効いてないや俺のドジっ子アピール。
「お客さん危ないですよ!落ち着いて!それと他にもお客さんがいるので行き先は変えられませんよ!」
そう、実は王都への旅は他の旅行者達と合同で行っているので、かなりの大所帯となっている。
馬車が数台に、冒険者の護衛者、商人に、届け物など色んな目的が重なっている。俺たちだけ違うところと言うのは無理な話だ。
「シルフィ、落ち着くのですよ。メルが売り払ってからかなり時間が経っているので今行っても無駄かもしれないです。」
「ぅ、うう、国の宝が・・・」
シルフィは愛国心が強いみたいだな。いっちょ励ましてやるか。
「まぁ元気出せよ。」
ポンっと肩に手を置くと、
「お主のせいだ!」
ボコっとボディブローが返ってきた。
怪力おん「あ?」・・・美少女金髪騎士のシルフィさんの攻撃でノックダウンした俺はリリに回復してもらっていた。
リリのおかげで助かっているが、もしいなかったら数日は動けないだろう。だって自分より何倍も大きい魔物と張り合えるシルフィさんのおチカラを、生身の俺が受けるなんてどんな死刑? あれ?そう思うとよく生きてるな俺。さすが俺。
シルフィをチラッとみるとまだ怒っているのか少し顔が赤かった。
どうもアレがそんなに重要なものだったとは思えないのだが。と考えていると、
ズゴゴゴと地響きがしてきた。
辺りを見回すと、荒野を過ぎ、砂漠地帯に入っていた。ここはかなら熱く、水がほぼないが、そこまで大きい砂漠ではないのですぐ抜けられるらしい。
でも地響きをあげるものが一向に見えない。
この音だとかなりでかい魔物とか、災害くらい起こってそうだけどな。キョロキョロと見回していると
「来ます。」
マリアの索敵に何か引っかかったようだ。
「・・・どうせメルのせいで大物なのです。」
ボソっとリリが呟くので、なんだか悪いことした気になってくる。やめろよ、シルフィの攻撃を耐えるほど身体は強いけど、メンタルは弱いんだぞ俺。
ほら、シルフィがまたプルプル震え出した。思い出し怒りだよ。
なーんて悠長に考えている場合じゃ「ギシャァァァァァァァァァ!」
・・・ないですよねぇ。
フラグってのがなんだかわかったような気がするよ・・・これは言っちゃいけないわ。
フログビーが可愛く見えるほどのものすごく大きなモノが俺たちの前に立ちはだかり、見下ろしていた。
===閑話===
勇者の書 原本
異世界きたぜー!ヒャッハー!チートハーレムまっしぐらだ! ここの世界の女どもは可愛い奴らばっかりだしマジで楽しいぜ!他の男に取られないようにツバつけとかなきゃ!それに国とか建ててみたいなー・・・・
勇者の書 翻訳版
俺はいつの間にか知らない土地へ転移してしまったようだ。 この世界のには魔物がいるみたいだ。魔物に脅かされている民を放ってはおけん。俺が導かなければ!・・・・
メル「原本なんか読めないけどロクなこと書いてない気がする、こっち捨てようかな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます