第14話 クエスト14 メルの過去
前回のあらすじ
メル指名手配 される。
↓
メル「俺の過去を…」
つ、ついにこの作品にシリアスが?
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俺は一人っ子だった。父は周りの人に尊敬され、歓声を浴び、人を従える偉大な父だった。 ちなみに、母は、表向きはあまり力を出さないが、父と母が言い争うと最終的に父が頭を地面に擦り付けていた(比喩?)ので母はきっとこの世で一番強い生物なんだなと思っていた。
そんな偉大で強大な両親の息子となれば期待もものすごく大きくなる。
別に嫌だったわけではない。その血が、答えられるだけの能力が、自信過剰かもしれないが、俺にはあった。
教えられた剣を吸収し、噛み砕いて俺の剣にした。教えられた魔法の威力を好きに調節できるほど魔法制御に長けた。
しかし俺には夢や目的がなかった。周りや他の人がそうしているからそうするだけ。空っぽの人間だった。
そうして日々を過ごしていた時、俺の家に1人の冒険者と名乗るものがやってきた。
確か俺は7.8歳くらいの頃だったと思う。その人物のオーラというか覇気のようなものに圧倒された。父に似たような感じがした。
俺はとっさにその冒険者に話しかけた。
「あのっ、どうしたらあなたみたいになれますか!」
「ああ?なんだお前は?! ガキのくせして、おれのようになりたいだとぉ!?」
「ご、ごめんなさい、と、とてもかっこよかったので」
「ほーう、なかなか見る目があるじゃねぇか。よーし、じゃあ特別に!教えてやろう。いいか?一回しか言わねぇから、耳をかっぽじって聞けよ?俺のようになるにはなぁ!」
「ご、ごくり」
「夢を持ち、自由に生きろ、だ。」
「え?」
「あーん?聞いてなかったのか?それじゃあ「ち、違うの!」お?」
「自由に生きるだけ…なの? それに僕夢なんか持ってないよ・・・」
「おう、自分の好きなようにしてみろ、周りの奴がなんて言おうが関係ねぇ、お前の人生はお前だけの物語だ。夢がねぇ? そんなもん探しゃーいいじゃねぇか、冒険者になって世界中を旅してみろよ、しらねぇことがたっくさんあるぞ?俺もやっと最近夢を見つけたところだからな!」
「おじさんの夢はなに?」
「お、おじさんって、俺はまだ数百年しか生きてねぇぞ!お兄さんと呼べ!
そんで…あぁ、俺の夢か?それはな…耳貸せ坊主。 ボソボソっ」
「ぬ、きてたのか〇〇、何儂の可愛い息子に絡んどるんだ、 早く来い、積もる話があるんだからの」
父が通りすがり、冒険者を連れて行こうとする。
「お、おじさん!待って!」
「おー、坊主、おじさんゆーな!ったく、ちょっと俺は用事があるからまたな」
「お主変なことを吹き込んでないだろうな?」
そう言って二人は去っていった。
・・・俺の夢はなぁ、「世界平和だ」
そう言った彼の言葉だけが残っていた。
「…………んで紆余曲折あって今に至るわけだ。」
「話を飛ばしすぎだ!」
「なのです!」 「・・・飛びすぎ」
「その紆余曲折も大事なところです」
「えぇ、そんな大したことないぞ?弟を後継にするべく弟が生まれるまで耐え、模擬決闘をするように仕組んでわざと負けて、弟がすごいってことにして、俺は行方をくらますという完璧な作戦を立て、王都から出たんだ。」
「なるほど、弟に責任を負わずクズですね。」マリアさん辛辣すぎやしませんかな。
「待て待て待て、ツッコミどころが多すぎるではないかメル殿。まず、行方をくらますといえど貴公のその髪、かなり目立つのではないか?」
シルフィが囃し立てる。
「もちろん、変装はしたぞ?カツラとか買ってローブを買い服を売り払って一新してな。」
「そ、それとこれが一番気になるのだが、世界を見て回りたいということだろう?今のメル殿の目的は。」
「んぁ?んー、そうなるかなー」
「その、どうするつもりなんだ?私たちはパーティな訳だろう?」
シルフィさんがアワアワしてる。珍しく慌ててるな
「ん?どうせこのままここにいても稼ぎが美味しくないから、違う場所に行くだろ? 戦力的にもここじゃちょっと過剰な気がするしな。」
「いやいや、他のメンバーたちの意見も・・・」
「金です!お金が貰えるところに行きましょう!」
「・・・ん・・・特に問題なし・・・」
「旅をした方が宿に泊まるより私の出番がありそうです。」
「そ、そんな・・・」
「なんでシルフィはそんな旅に出るのが嫌なんだ?」
「い、嫌というわけじゃないんだ。少しの間なら旅もいいが、長い間はダメなのだ。ここにいなければ。」
そういや、シルフィは自警団作ったりしてたしなぁ、何か外せない用事でもあるのだろう。
「そういうことなら、拠点をここにして、時間に余裕がある時、旅に出るって感じでどうだ?」
「おお、それなら良い!それで頼むぞ。」
目をキラキラさせ喜んでいる。鼻息も荒いが、どんだけ嬉しかったんだよ。俺らがいなくても他のパーティに入ればいいのに。
他のパーティ・・入隊・・拒否・・あっ。
「むー?それだと、わざわざ王様さんが、メルのことを指名手配する意味がわからないです? ここに来る途中に何かやらかしたのです?」
「ん?何もしてないぞ?というか、よく考えれば、親子なんだから子供くらい探すわな、考えが甘かったぜ。社会的に俺自身を殺すべきだったか・・・」
「「「・・・・は?」」」
と、急に3人が固まってしまった。
ユティだけはうとうとして眠そうだが。
「ま、待ってくださいメル様、誰が誰と親子なんですか?」
お、珍しくマリアが動揺してる。もう何ヶ月も一緒にいるが初めて見たぞこの表情。レアだな。マリアと、リリはまだフリーズしてる。
「俺とグレイスがだよ。」
「お、おいメル殿、冗談でも言ってはならんぞ。この国のトップの方の名前を出してふざけるなんて、重罪になる。不敬罪だぞ。」
「ま、待ってくださいです、指名手配には名前がメルファリア、黒髪・・・、
そして背が低く子供みたい・・」
「「メル(殿)です!(だ!)」」
おい何その不名誉な感じの、不愉快な感じのハモり方。
「お前ら・・・処すぞ?我王子ぞ?」
「出家してるのでメルは一般人なのです!」
うぐぐ、普段バカなのになんでこういう時頭が回るんだ。リリは。
「・・・でも、死んでてもいい?」
何を急に言いだすんだユティは。
「……あぁ、デッドオアアライブのやつか。たぶん怒った父さんがいい修行になるとか言って付け足したんだろうな。たぶん今ごろ母さんにこってり絞られてるよ」
「そ、そうですか、でも特に問題はないですね、元々私の主人はメル様でしたし。」
マリアは若干おかしいが平常を取り戻しつつある。 つか、主人ではなくてリーダーだっての。
「まぁそんな感じかな。あ、別に呼び方とか態度は変えなくていいぞ、俺はただのメルだ。」
「了解なのです!」「・・・ん」「はい。」
「うむ。む?そういえば、これからどうするのだ?」
そうなんだよなー、外はギラついた冒険者が多いからなー、くそ親父的にはいい修行とでも思ってんだろーけど、みんながみんな、親父みたいな超人ではないと自覚してほしい。
あの親父は新しい種族なんじゃないかってくらい強い。どのくらいっていうと単身で軍と渡り合えるくらい。
高笑いしながら魔法と剣が飛び交う戦場を駆け回っている姿が容易に想像できる。
親父に、剣を習うと、俺がボコボコにされ、それを見た母さんが親父をボコボコにするというのが定番の流れだった。あれそう考えると母さん何者?
「ん、まぁとりあえずそんなに強い冒険者もここにはいないし、気にしなくていいんじゃないか?」
「「「うーん」」」「・・・むにゃ。」
3人と眠り姫が一人うなった。
======閑話====
オーガ「あいつだ!あいつをやればこちらが優勢になるぞ!」
「「「「グギャギャグギャギャー!」」」」
グレイス「…せいで…」
リザードマン「お前一人で突っ込んでなにボソボソ言ってやがる!とっととくたばれぇ!」
グレイス「お前たち魔王軍が暴れるせいで、息子を探しにいけんだろぉがあ!」
敵味方一同
「「「「「「「「「「ひっ」」」」」」」」」」
バゴォーンバキッドカッ
「ウギャァァァ、たふ、たすけてくれぇぇ!」
「(味方で良かったな・・・・)」
「(一般人から見たら、俺たちが悪者みたいだよな、戦争というか、虐殺に見えるわ)」
「う、うおおお、陛下につづけー(棒
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