第11話 クエスト11 集いし者達
今の状況を簡単に説明すると俺の命がマジで消し飛ぶ10秒前だ。
目の前には鬼の如く怒り狂う俺の仲間たちがいた、まぁ少しずつ怒り方は違うみたいだが。
マリアはまるでゴミを見るような目で殺気をほとばしらせ手には暗器が握られている。
リリは一見穏やかに見えるがまるでスタンドのようなものが後ろに見える。あと目が笑ってない。
そしてシルフィ。こいつが一番やばい。他2人もやばかったがこっちはもうまんま鬼神のような顔つきだ。そして椅子を握り潰し破壊している。メキィメキィっとどんどん圧縮している。椅子が圧縮って何?俺も初めて見た、椅子が何をしたっていうんだ・・・
ここで問題だ。こいつらは何に対して怒っているんだ?特に何かしたわけでもない・・・夜中寝ぼけて襲ったなんてこともなさそうだ。さっきまでベットで寝てたしな。
うーん、どうなっていると、奴らがこちらへ迫ってきた。ヤバイヤバイ!思考に耽っている場合じゃなかった!
「ま、待て待て!お前ら!一体どうしたってんだよ!俺がなんかしたか?したなら謝るから、ちょっと落ち着こう、落ち着いて話をしよう!人は対話ができる唯一の生き物ってジッちゃんが言ってた! な?な!」
「何をしたかだと?貴様はそんなこともわからんのか・・すりつぶして欲しいようだな」
「このゴミ虫以下の生物に慈悲はありません」
「あなたに安らぎがありますように・・」
話聞かねぇー! てかリリ!それ死んだやつに言うやつだから!まだ死んでねーから!
「いやぁぁぁぁ痛い痛い!シャレにならないから!そこ、ナイフ出さない!まだ死にたくなぁァァァァ………」
宿に、俺の叫び声が虚しく響いたのであった。
「んでお前ら何か言い訳はあるか?」
数時間後あわや肉塊になるところに救世主が登場し、なんとか生き延びた。いや、ある意味主犯?
俺の布団からもぞもぞとユティが出てきて事なきを得たのだ。3人はユティと俺が一緒に寝てるのを見て犯行に及んだみたいだ。てかなんでユティここで寝てたの?
「・・・寝る場所・・・なかった。 女のとこ、狭い・・・うにゅぅ・・・」
まだ眠いのか目が開いていないユティがそう語った。
「その、だな、メル殿が年端もいかない子供と、あの、同衾をだな、していたのかと思い、ついに犯罪者になったのかと・・な」
おい、シルフィ。ついにってなんだついにって。こいつ、何で俺が犯罪を犯すと思ってんだよ!
「私らは、メル様がそんなことをするはずがないと知ってますから、魔物か何かが化けて、忍び込んで来たのかと」
白々しい嘘をつきやがって・・・
マリアのこう言う話は大体嘘だ。俺もわかって来た
「私は信じてたのです!メルがそんなことするはずないのです!」
このアホは目が右往左往して、挙動不審になってるぞ、わかりやすすぎだろ。
「よし、お前ら全員有罪。ユティ、特大のフレア頼む。」
フレアとは特大の火の玉を大量に生み出し放つ、大魔法だ。まぁファイヤボールの超強化版かな。小さな戦争とかだとこれ一つで勝敗が決まることもあったり。まぁユティなんかが使えるはずが
「・・任せて」
「使えるのかよ?!」
なんとかユティをなだめた俺はユティを連れ、服を買いに行くことにした。
ユティは目を離せない、危なっかしさNo. 1だからな。
外に出るときあいつらが疑わしい目で見てきた。また折檻してやろうか。
さてなんで服を買いに行くかと言うと、早とちり3人組の攻撃を受けた俺はズタボロにされていた。誤解をユティが解いてくれ、リリのヒールで肉体的損傷は、回復はしたが衣服までは元には戻らないのだ。あと、血も。
アホバカチビの3人には部屋の掃除をしてもらっている。え?口が悪いって?このくらい許されるだろ!あいつらの行いに比べたら!
「・・あぁ、そういやユティの紹介できなかったな・・・あいつらのせいで。悪いなユティ。」
「大・・じょぶ・・気にしない・・」
この子は相変わらずマイペースなようで俺がめちゃくちゃにされてる時もスヤスヤ寝ていた。もう少し起きるのが遅かったらリリの鎮魂の餌食になっていただろう。
帰ったら紹介してやらないとな。
高級な服を買い、お金はシルフィにつけておいた。何やらこの町ではシルフィが有名なようだ。名前を出したら店員の顔が青ざめていた。気分がいい。
「ぬ?帰ったか おかえり・・おお、いい服ではないか、そんな服を買える余裕があったのか?」
「ボソっ(お前につけといた)」
「お、おい、いまなんと…?」
俺はシルフィの声を遮って話し始めた
「さぁて!、新しく仲間になるユティだ。かなり腕のいいウィザードのようだ。仲良くしてやってくれ。 ユティ、一言あるか?」
「・・・ユティ・・・だよ」
「リリムートなのです!よろしくです!」
「シルフィと呼んでくれ。よろしく頼む。」
「マリア申します。よろしくお願いします。」
少しの静寂のあと、シルフィが口を開く。
「それに…しても、女性ばかりだなこのパーティは。メル殿も好きだな。」
「違うわ!お前らが入ってきたんだろ!」
その手の冗談はマリアが怖いので禁止です!ほんと目が笑ってないもんマリア!
「さて、ユティも入ってきたことだし、クエストでも受けるかー?」
「そうなのです!お金がないのです!報酬が高いのを所望するです!」
「・・・頑張る」
「強敵で殴りあいができるのが良いな。」
「では小腹が空いた時用に何か作りましょう。女将さんのところへ行って来ます。」
「・・・お前らほどほどしとけよ」
数時間後。
俺たちはゴブリンの集団の討伐に来ていた。ブラットウルフなどの多種類の魔物の存在が見つかっていてかなりクエストの難易度は高くなっていた。
「ユティ!威力抑えろ! 魔物消し炭になってんじゃねぇか!素材が勿体無い!
脳筋パラディン!1人で突っ込むな!危ない!
リリ、アンデットはいないから!ソワソワすんな!回復とサポートに専念してろ!
マリアは引き続き索敵を頼む!」
なんとか俺が司令塔になってバランスを取っている。こいつら一人一人の個が強すぎて扱いづらい! 依頼の森へ入ってみると、 思ったよりも魔物の数が多く、苦戦していた。
マリアが索敵と援護、リリが回復と補助、シルフィがタンク、ユティが攻撃魔法で殲滅、俺が判断や指示を出したり、遊撃だ。
初めての合わしにしては難易度が高かったが、まぁなんとか凌ぎきれた、合格点だろうと思う。
そしてさらに数時間後。
俺たちはギルドへ帰ってきていた。以前マリアと2人で行った時は惨敗からの逃走、鬼ごっこを永遠として、罰金を払った。
しかし今度は報酬ももらい、素材を換金しお金をたんまり儲けた。 あぁこれこれ!これだよ。俺が憧れていた冒険者は。その日暮らし最高!
そうして俺たちは、酒場で飲み食い散らかし、朝まで騒いでいた。
朝が来るまでずーっと飲み明かし、騒いでいた。無礼講ということでふざけあったりました。そうしてあっという間に楽しい時間は過ぎて行く。
こういう生活を俺は続けて行くのだろう。いや俺たちは、か。
俺たちは性格や、戦闘スタイルはわかっていても、身元や過去は全く知らない。
そのことが災いと化すか幸いとなるかはまだ誰もわからない。しかし今はこれでもいいかなと思う俺であった。
第1部完
====閑話====
ユティ「お金が・・あるのですっ!今日は飲み食いし放題なのですっ!」
周りにいた酔っ払い冒険者「おお!お嬢ちゃん!気前がいいじゃないか!みんな!今日はこのお嬢ちゃんのおごりだってよ!「えぇ!なのです!」飲め飲め!わはははは」
ユティ「そんなこと言ってな「「「「うおおおお!さすが!美少女!ヒューヒュー!」」」」そんな言うなら仕方ないのです!野郎どものめのめーです!」
メル「お前はバカか………」
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