第3話 続!ゴブリン討伐

ゴブリンの集落はかなりの数がいた。

木や土で作った小屋のようなところに住んでいるようだ。中には木の垣根に住んでいる奴もいる。4〜50匹入るんじゃないだろうか。


「マリアこんな数倒せんのか?俺はとてもじゃないが無理だと思うが」

と耳打ちすると

「大魔法を撃ちましょう」

「なんだって!?」


大魔法。それは 一流の魔法使いが使う魔法で種類は多々あり多少はは違えど一様に絶大な効果を誇るという。まだ見たこともないが、あぁ、おれもいつかは使ってみたいものだ。


「おれにはこの数は倒せそうにないし頼むよ」


俺は巻き添えを喰らわないようにマリアから離れ後ろへ下がる。

マリアは魔力を手のひらに集め始める目に見えるほどの魔力が集まり収束していく。集まった青色の魔力が辺りを照らしている。

「ギィギ?」

さすがにゴブリンたちも異変に気付いたようでこちらを見つけ始めた。しかし、マリアはもう魔力を練り終わっている。そして今、魔法を放つ!


「<フローズンワールド>!」


あたりに青い閃光が走り一瞬目を瞑る。

「やったか?!」

と言い目を開けると、空から雪が降っていた。しかもあたり一面銀世界になっている。暖かい、いや暑いくらいの気候だったのにもかかわらずこの森には雪が降っていて地面には氷やら雪が積もっていた。。


「ふぅ」


マリアが一息つく。一仕事しました。みたいな雰囲気を醸し出している。


「なぁ今の魔法なんだよ」

俺は気になったことは聞くタイプなんだ。

「何って気候を変える大魔法ですが?」

とマリアは首を傾げる。

何を言ってるんだとばかりに顔にははてなマークが浮かんでいる。正しい用途で使えばかなりすごい魔法だろう。例えば敵国でこの魔法を使えば作物が作れなくなる。さらには大雪や氷による災害や事故も多発するだろう。しかし。しかしだな、

「その魔法でどうやってゴブリンを倒すんだよ!」


雪をかぶさったゴブリンは未だ健在でありジリジリとこちらに詰めてきている。

ほら、今にも飛びかかってきそうなんだけど!

「てへっ」

「何が「てへっ」だ! せめて表情ぐらい変えやがれ! お前のせいで位置もバレてるしどうすんだよ!あぁほら!来たよ!走って来てるよ!」

「それはメル様が大声を出したからでは?それと大魔法については誤解があります。あれは文献で知った覚えたての魔法だったので試してみたかったのです。」

「うーるせぇ ! なんか怪しいと思ったんだよな!大魔法の効果くらい先にしらべとけ!」


白々しく述べるマリアにさらにキレながら、二人対数十匹の鬼ごっこを一日中繰り広げた。





=======ギルド==========



「お疲れ様でした。違約金は1万レムになります。」

なんとか町まで帰った俺たちはクエスト失敗の違約金を払った。達成したら報酬が大きいので違約金も高くなるのだ。

ちなみにマリアは先に宿屋に戻っているらしい。何か用事あるのか、と聞いたところ、女性には色々あるのです。とか言って行ってしまった

はぁ、とため息をつきながら宿に戻るためギルドをさろうとすると、

ガシャンガシャンと鎧がぶつかる音を鳴らしながらこちらに近づいてくる人がいた。


「そこの君、依頼を見て来たのだがこの依頼は君で間違いないだろうか。」


堅苦しい喋り方の声がするので振り返ると

後ろには緑髪の華奢な女性が鎧を着て立っていた。

すらっと伸びた足にたわわに実った胸、そして折れてしまいそうな腰。

凛とした喋り方といいお姫様のような人だった。


「私の名はシルフィーナ・オ、、いや家名は必要ないな シルフィと言う呼び捨てで呼んでくれて構わない。依頼者のメル殿だな。よろしく頼む」


と手を差し出した。

いったい何を頼まれるんでしょうか、あんなことやこんなことまでなんでもしちゃいますよ!げへへへ、

はっ!あぶないあぶない、危うく理性を失うところだった。

それにしても家名となると貴族かそれに連なるお偉いさんなのかね?

・・・手汗かいてないだろうか


「俺の名前はメルだ。よろしく頼むよシルフィ。つい先日もう一人仲間ができたんだけど後で紹介するよ。」


手をこっそり拭いてから握手する。温もりを忘れないようにしっかりあくしゅを・・ボキャッ


「イデデデ!痛いっギブ!ギブアップ!」

手が!鳴っちゃいけない音がした!クシャってなった!クシャってなっちゃった!


「おっと、これは済まない。私は力加減が昔から苦手でな。いやでも気をつければ大丈夫だ。安心してくれ。」


そう言い張るので 酒場にあったコップを不意打ちで投げてみる

「わっ何を?! 」グシャ


木製のコップは両手で握りつぶされていた


「「・・・・・・」」


両者の間に沈黙が流れる。

俺はバッとギルドの扉に向かってダッシュをかけると、ものすごい反射で両手を掴まれた。なんか衝撃波出てない?


「頼む!私は力加減が下手だが、戦場では役に立つ!前線を貼って壁役もこなそう!敵が来たら薙ぎ払うし、きっと!きっと悪いことにはならないはずだ!だから、な?いいだろう?少し、少しだけ、ほんのちょっとだけだから!もう他のパーティは入れてくれないのだ」

涙目になりながら懇願してくる彼女を見てると入れてあげたくなってしまう。が最後の方はなんか怪しいおっさんみたいなセリフだし

他のパーティに入れてもらえないほど何をしたんだ?あと俺の手大丈夫? 取れてない?


「だぁぁぁ!離せ!わかったわかったから!

俺の手が紙くずみたいになっちゃうから!」

「いいのか?」


いいのかも何も俺の手を人質にとってんじゃねーか。承諾しなきゃ手が無くなる

「まぁさすがに決めらないから、お試しってことでどうだ?ほら俺たちあったばっかりで何もわからないだろ?だから一緒にパーティを組んでそれで相性が良かったらもう一度組もうぜ」


「おお!わかった。きっと私の力を認めさせてみせよう。」

テキトーな理由考えて断ってやろう。

「おう、じゃまたな!」


そう言ってギルドを出ようとすると、

ベキッ

肩を掴まれた


「おいなんだこの手はイデデデデ! 強いって力加減しやがれ!」

「す、すまん、しかし仮にもパーティなのに置いて行くなんて酷いではないか。私とお前達は一蓮托生。ついて行くぞ」

「え?」

「む?」

「着いてくってどこに?」

「どこへでも」

「これから宿に帰るんだけど?」

「着いていこう」


「「・・・・・」」


「はぁ?!お前自分家帰れよ!もしくは元の宿!」

「何を言ってる。それでは親睦が深められんではないか。」


あーだこーだ言い争ったが結局

何を言っても聞かないため宿に連れて帰る。

部屋をもう一つ取ろうとしたらそれではダメだと、相部屋にすることになった。

女性と同じ部屋とかなんでこんなことに・・・


いや、冒険者ならそう言うこともあるだろう。英雄になるためにはこれは必要不可欠な修行のようなんもんだ。


「おーい女将部屋変えたいんだけど!ベット二つの部屋ある?」

と宿屋の女将さんに声をかけると


「メルじゃないか、部屋ならもう変えてあるよ、階段上がって突き当たりの部屋ね。」

「?おーありがとう。」


なんだかわからんが部屋があるなら良いや。





「しゃあないから今日は二人で・・・」

ドアを開け部屋に入るとどこかで見たような銀髪のメイドさんが座ってお茶を飲んでいた。



=====閑話====

メル「シルフィお前前のパーティで何やったんだよ」

シルフィ「む?ただ背中を叩いたら骨が折れただとか、入る店々で売り物を手に取ったら壊れて賠償させられたりとか、モンスターから素材を剥ぎ取る時に破壊したりとか・・etcとにかく軟弱なパーティだったのだ」

メル「(早くなんとかしないと)」

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