第2話
い...おい...「おい!しっかりしろ!」
がんがんと頭に音が響いてきます。うっすらと目を開けると、
「気がついたのか?」
見知らぬ場所に少年は寝転がっていました。
「なにしているんだ?家は?名前は?」
矢継ぎ早に質問され、めまいと倦怠感が少年を襲います。
それでもやっとの思いで、
「家、ない。名前も。」
と答えると、男はにやりと一瞬笑いましたが、すぐに優しげなほほえみに戻りました。
そして男は、
「なら俺と来るか?」
と聞きました。
優しげな男の瞳に、少年はやっと安寧を手にしたような気がしました。
―――――――――
男...もとい奴隷商ザイデルは目の前で眠る美しい少年を見て、
いくらで売れるか考えていました。
(すっかりくすんでいるが、鈍色の髪は磨けば美しい銀色になるだろうし、
何より美しい琥珀色の瞳を持っている。20...いや、30はいくだろう。
きっとこの子はいい声で啼くだろうし...)
ザイデルの頭に顧客の顔が浮かんでいきます。
そしてより高く売るために身なりを整えようと、湯浴みと服を準備させました。
ザイデルの顔には下卑た笑みが浮かんでいました。
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