幸福を知らなければ悲しみは感じない。
櫻庭 春彦
第1話
ひとりの飢えた少年がいました。
愛にも、食べ物にも。
まだ両親が生きていたころは、裕福とは言わずとも一般的な
いわゆる”幸福”な家庭に住んでいました。
――いつからだろう、歯車がきしみ始めたのは。
少年は寂しさを紛らわすために罪を―実感もないまま―重ねていきました。
「この泥棒猫がっ」
野太い声が市場いっぱいに響き渡りました。
数日前にアジトはうばわれてしまったので、少年はずっと遠くまで逃げました。
いつの間にか森の中に入ってきてしまっていました。
もう日も暮れ始めていました。
グルルル
飢えた獣の声が森によく響きます。
(くそっ こっちくんなよ…)
願いむなしく非力な少年は飢えた獣に見つかってしまいました。
いつもの威勢も消え失せ、腰の抜けてしまった少年は逃げる事もかなわず
襲われてしまいました。
刹那、閃光が走り少年は金色の美しい鳥をみとめました。
少年は、ながれる意識に身をまかせました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます