おじいさんと星
三浦太郎
おじいさんと星
むかし、むかしのある山奥に
おじいさんがくらしていたそうな
そのおじいさんは大層星が好きで
夜になっては桑を放って屋根に登り
眠くなるまで星空を眺めていたそうな
けれど歳をとったおじいさんは
だんだん目が悪くなってしまって
わしは死ぬまで星空を見続けられないのか
そう思っては涙をながしたそうな
ある日、ある満月の夜のこと
おじいさんは畑に光る石を見つけたそうで
こんなもの、昼間に見ただろうか
不思議に思って拾ってみると
石はいきなりわっと輝いて
天まで届く梯子が畑から生えていたそうな
そこでおじいさんは思ったのは
これを登れば、星がきっとよく見える
そんなわけでおじいさんは
年取った体に鞭打って
えっちらおっちら梯子を上っていき
するとおじいさん、とうとう星に手が届き
その輝き美しさにうっとりしてしまった
これを持って帰ろう
おじいさんは頭くらいの大きさの星を抱えると
えっちらおっちらまた梯子を下っていったそうな
家へ帰ったおじいさん
持って帰った星を大事に持っていて
星が光るせいで星空が見えなくなってしまった
それでもおじいさんは
大事に星を抱えているもんだから
眩しくて眠れなくなっちまったそうな
夜も眠れず畑仕事をして
しまいには何かの拍子に転んで
頭を打って死んじまったとさ
おじいさんと星 三浦太郎 @Taro-MiURa
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