隻影

作者 夏川 俊

7

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★★ Very Good!!

――

 家庭の事情から家出をし、夜の女として街に立つ十七歳のなつきを主人公に、彼女の視点で同じような境遇の女性たちや彼女たちをシノギとして囲う暴力団の男たちの素顔をあぶり出していく現代ドラマ。

 物語上、性描写は何度か出てくるが、どちらかと言えば淡々としていて(それが屈辱的な行為の強要であっても)、それがなつき達の生きる世界観を端的に表しているように思える。

 なつきは根無し草のような生活ながらも、自分の体ひとつで生きているという自負がある。それでいて暴力団の庇護にならなければ自由がないことも知っている。
 そこにあるのは若さ故の無知なのか、孤独への反抗なのか、彼女を見下すような月の描写が実に巧い。

 自分の夜の顔を知られたくないと思う男、気質だと信じていた男の裏の顔、そして否応なく巻き込まれていく暴力団の抗争。
 まだ終着点の見えない物語は、なつきをどこに連れていくのか、それは恨めしく頭上にある月だけが知っているのかもしれない。

★★★ Excellent!!!

――

少女の抱える孤独が 心にささる物語でした

渋谷の雑踏に 見過ごしてしまいそうな人影
十七歳のなつきは、細やかな感性を持つ少女です
こんな境遇にいてはいけない子どもです

何故と 他人に推し量られることを 彼女は嫌うかもしれませんが
もしこの手が届くなら なつきの孤独を癒やしたいと 願わずにいられませんでした

★★ Very Good!!

――

実話から滲み出たセイのにおい
息のつまる空気を漂う気配
冷たいミチに踏み込む少女は
月の光を避けるように
影で形作られた路に住んでいる
瞳と掌の中のくすんだ輝きを擂り潰しながら
それでも"なつき"は、