幕間
第21話 転校生
結論から、書く。
秋休みのうちに、桜川真は転校した。
秋休み明け、初日。
俺の隣はSHR直前になっても空席のまま。
それに不審を抱いたクラスメイトが、異口同音で俺に尋ねた。
「まこぴーどうしたの?」
「知らん」
そうとしか言えない。
俺だって事の推移は聞かされていないから、詳しいところは全くもって分からん。
8時20分。チャイムと共に担任がやってきた。
「皆さーん、席についてくださーい」
平静を装って入るが、どこか挙動不審。
日直の号令が終わると、開口一番にこんなことを告げた。
「えーっと、今日から転入生が加わります。どうぞー」
担任が微妙な顔をして、転入生を呼んだ。
へぇー、こんな時期に転入生ですか。
すると教室に入ってきたのは、俺の見慣れた顔だった。
あごのラインまで伸びた、ややショートカット気味の黒髪。
ショートボブ、と言うのだろうか。
制服はスカートを短くすることもなく、校則通りに着ている。
顔立ちは男子にも女子にも見える、中性。
身長は、俺よりも頭1つ分くらい低いように見える。
「今日からお世話になります、桜川真です。よろしくお願いします。……あ、ちなみにボクはオトコノコなので」
『はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?』
ちなみに俺は知っていたので驚きもしなかった。
ただし、こんなお笑いのような話を秘密裏に聞かされたのが、つい昨日のこと。
俺は阿鼻叫喚(?)を傍観しながら、秋休みの出来事を思い返していた。
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