第3話
人形さんは、何かをぼやきながら立ち上がり黒い箱の中から抜け出そうと出口を探しだした。
僕も探そうと一歩踏み出すと何か冷たいものが足まとわりつき下を見ると、鮮やかな黄色の液体だった。
何かと不思議に思い固まったオイルの地面に擦り付けるが中々取れず歩く度地面に黄色の足跡を残す。
どこから液体が流れ来たか見ると壁が黒く見つけにくいが人一人通れそうな程の四角く空いた空間があった。
それを人形さんに伝えると、血相を変えその空間を使って次の場所へと向かう、その後を追い広いところに出ると蒸気はなかったがうっすらと霧が混じったあの母鳥と同じ黒い箱の世界だった。
その黒を塗りつぶすように、赤、青、黄、緑と色とりどりの原色たちが壁を塗り尽くしていた。
その光景を眺めていると、人形さんはまだ乾いてもいない液体の上を走り抜け身体中を液体で汚した。
踏みつけられ混ざりあった液体は黒ずみその跡をたどり追いかけやっとの事で追い付くとそこには、足のない人形と目のない二人の木製の人形が立っていた。
姿形が瓜二つの人形には共に首を鎖で繋がれ足のない人形は、両手に大きな筆を持ち目のない人形は前髪で隠し手にはバケツを持っていた。
人形さんは、そんな二人の事を気にも止めずに出口を探し始めまだ色のついていない壁に手をつくと目のない人形がバケツに入った液体をバケツごと人形さんにぶっかけた。
『困るなぁ~
未完成な部分に触っちゃダメ~』
その場で倒れる人形さんに駆け付けると長い黒白の髪先は、ショッキングピンクの色に染まってしまい、今度は、派手な水色の液体を投げつけてきただがそれは大きく的を外し奥の壁に命中した。
『あちゃ~外れたね~これはぁ』
『あははっ‼見えてないのにむやみに投げるからだよ』
眠たげな声と逆に元気な声が箱の中で響き渡り液体を至るところに撒き散らしていた。
僕は、人形さんの代わりにその二人に声をかけどうしたらこの先に行けるか訪ねた。
一旦こちらを振り向くと、木製の二人は木屑を落としながら、僕の方へ近づき突然質問を交え黒い物を見せつけてきた。
銀の長い針に突き刺さった丸い異臭を放つそれはまるで腐っている形からして眼球のようだと指摘すると木製の人形たちは、盛大に笑う。
『そう!よくわかったね!生物だよ‼』
『その目玉は、僕らの体を食っていった奴のなんだぁ』
答えを知ったときに、思わず鼻と口を袖で塞ぎ後ずさりをした、二人は、自分達の体を食っていった本物の生身の野獣の物だと言っているがそもそもこの世界で本物のの獣などいるのだろうか。
半信半疑で話を聞いていると、木製の人形は自分たちのお願いが聞けたら、外に出る方法を教えると言った。
僕が返事を返す前に後ろに座り込んでいた人形さんが返事をしてしまった。
二人は、ニヤつきながら自分達の足と目の辺りを指差し条件を述べる、それは僕らの体の一部が欲しいと言うことだった。
つまり、両足と両目をどちらかを差し出せばいい。
僕の体は、取り外しなどできないがためその条件に戸惑うと人形さんは、自ら足を取り外し二人の方へ投げつける。
『えぇ!
ホントにくれるなんて思わなかった!』
『躊躇すると思ったのにねぇ~
面白くないよぉ
まぁ、片方でも初めてお願い叶えてくれた
しなぁ』
そう話し合って二人は、どちらかの約束を叶えてくれたからと言ってすんなりと僕らに外に繋がった出口を教えてくれた。
出口を知っているのに外から出ないのかと聞くと木製の二人は、少し寂しそうに笑ってこの先には行けないと言って理由を聞く前に、背中を押され箱から追い出され後ろを振り向くともう、そこには扉はなく冷たい鉄の壁だけだった。
そこには、僕がいた所と何ら変わりのない場所だった。
空柄の鉄板に辺りを包む霧、地面からは蒸気が吹きがり全てが鉄製作り物でできていた。
ロボットに人形人外達があちこち歩き回っていた、誰も僕らを不審に思わないのか誰一人こちらを気にかけなかった、それなら、別にいい。
辺りを見渡していると、足のない人形さんは這いつくばって前に進もうとしこのままだと回りの人達に蹴られそうになり、慌てて駆け寄るとあることに気づく人形さんの側いたロボットが人形さんを通り抜けたように見えたのだ。
一瞬だったので、気のせいだと思い人形さんを抱えその場を後にする。
霧の薄いところに出ると、先程の景色から一変崩壊した建物がずらりと並んでいた。
人形さんは、ここに見覚えがあるのか赤い古ぼけた屋根を指差し僕は、人形さんをそこまで運んぶと僕を押し退け泥だらけになりながらも土埃を被った所によじ登り真っ暗な中荒し始めた。
初めは、あんなにも冷静だったのに突然何があったのかぶつくさ言いながら、机や壁に飾られていた物を見て泣いていた。
→next doll→
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