第19話
おれは、あっさりした性格だ。一晩すると、けろりと昨晩の失敗は忘れた。というか、それを乗りこえられるだけの成長をした気でいた。
気をとり直していこう。
魔族が退治されたことを知ると、西の州都はバッシュ帝国の領土になることに反対するものはいなかった。
おれたちは三日ほど、その城に泊まっていた。ロザミアが信頼できる領主を選ぶのに必要だった時間だ。本当は一刻も早く、次の城に進軍したいらしい。
西の州都は大陸の八分の一の領土を支配する一大拠点なので、ここを攻略できたのは大きかった。
おれとアイザが、いちばん政治力の高い人物がだれかの評価を討論していると、そんなものはロザミアが一蹴した。
「必要なのは、勇気と忠誠心だ。政治力など、部下に任せればいい」
このあたりを見抜く判断力はさすがロザミアだった。おれでは、ロザミアほどうまく統治できないようだ。おれは、自分がいかに世間知らずなのかを思い知らされてしまった。
ちなみに、リーゼがいうには、必要な能力は、救世主さまに助けを求める速さだそうだ。ロザミアが一蹴した。
神さまの意見は、サイコロに任せればいいというものだった。運任せで政治をしても、あやつらの能力ならサイコロと変わらないのだそうだ。ロザミアが一蹴した。
そして、いちばん忠誠心の高い者を領主に任命して、西の州都を統治させた。その領土の攻略も任せた。
二番目に忠誠心の高い者を将軍に任命して、独自に軍を率いて帝都を攻略するように任せた。
例によって、ロザミア姫は、お忍びで五人で敵国へ突撃するのだ。
うまくいくかはわからないが、四日目、おれたちは、西の州都を旅立った。
旅立って二日目、死霊使いに襲われた。死霊使いは、死霊の騎士を操っていた。
おれが剣を抜くと、アイザが指示を出した。
「まことは死霊使いをやれ。わたしが死霊の騎士をやる」
おれはその指示に従った。
死臭のする死霊使いを頭から叩き斬って、一撃で倒した。死霊の騎士の方を見ると、アイザが負けていた。
慌てて、おれは、死霊の騎士を剣で斬り倒した。
「大丈夫か、アイザ」
「……」
返事がなかった。血をべっとりと流して倒れている。
「たいへんだ。死ぬかもしれない」
おれはアイザを抱き起こして、みんなに叫んだ。
「どう手当てしたらいいんだ? おれは手当ての仕方も知らない」
「わらわに任せろ」
ロザミアが布を巻いて、アイザの血を止めた。アイザはひとこともしゃべらなかった。気を失っているのかもしれない。
「死んではいない。安心しろ。助かる傷だ」
ロザミアがいった。
おれは頭を抱えた。なんてことだ。今度はアイザを守れなかった。おれは思っていたより、ずっと無力だ。
その晩、アイザを宿屋のベッドに寝かせると、ロザミアがいった。
「これでは仕方ない。まことはアイザの代わりにわらわの付き人をやってくれないか。少し手伝ってもらうことがある」
「付き人というと」
「うむ。今までは、アイザに頼んでいたのだが、数日、アイザは動けそうにない。アイザが元気になるまで、しばらくかかりそうだから、その間、どうしても外せない儀式をまことに手伝ってもらいたい」
「儀式?」
「隣の部屋に来てくれ」
おれはアイザの寝室を出て、隣の部屋でロザミアと二人きりになった。
なにをするのか見ていたら、ロザミアが服を脱ぎだした。
な、なんだ! 何が始まるんだ。
おれが驚いていると、ロザミアは全裸になった。服と持ち物はすべて、部屋の隅に置いてしまった。
「わらわの背中に文字が描いてあるだろう。それに異常がないか、確認してほしいのだが」
ロザミアのお尻がみえる。形のよいお尻だ。長身のロザミアは後ろから見ても抜群のプロポーションだった。
そして、いわれたとおり、背中に文字が描いてある。ロザミア・バッシュという文字になるように絵が描いてある。文字になるように絵を描いたのであり、不思議な描き方だった。
「わらわの背中に文字が描いてあることは決して誰にもいってはならん。本物の皇族を表わす証なのじゃ」
うん。うっとりするほど、幻想的だ。皇族の使う本式の文字を初めて見た。それは美しいものだった。
「入れ墨だよね、これ。こういう絵文字の入れ墨が描いてある人は、ロザミアしかもう生き残っていないの?」
「そうじゃ。わらわが最後の一人じゃ。これを見れば、大陸中の全神官がわらわに跪く。聖書に描いてある聖人の背中の絵文字と同じなのじゃ」
へえ。この世界の聖書がどういう本で、どういう聖人がいるのかは知らない。
さて、困ったのは、この後だ。この後、どうなるのだろう。ま、ま、ま、前を見てみたいな。とか、思っていたりするのだが、許されることなのだろうか。
おれは少し考えた。
そして、絶対に前も見なければならないという結論に達した。体の前面に、どんな絵文字が描いてあるのか、確かめなくてはならないからだ。普段は服を着ていて見れない。
おれは、足をロザミアの前へと進めた。
顔を見るのは恥ずかしいので、体を見る。あそこに毛が生えており、大きなおっぱいがある。絵文字はなかった。
「ふふっ、合格じゃ、まこと。わらわの前姿を確認しない付き人に用はない」
どっと汗が出た。安心したと同時に、心の中が読まれたかのようだ。思いきって、顔を見る。
にやっと笑ったロザミアの顔があった。美しい。
「それだけの度胸があるなら、正式に今日からまことはわらわの付き人じゃ。風呂の手伝いをせい」
は? なんと?
「風呂の手伝い?」
おれが不思議に思って聞くと、
「そうじゃ。わらわは一人で風呂に入ったことがないのじゃ」
と答えた。
思い出してみれば、アイザに会うまでは風呂に入らなかったし、アイザに会ってからは、ずっとアイザと一緒に風呂に入っていたような。
「お体を、洗ってよろしいので」
なぜか、口調が丁寧になってしまった。
「当然じゃ。そのための付き人じゃろ」
これは、嬉しい。素直に喜んでよいんじゃないだろうか。
というか、あの時、おっぱいを見に、前にまわってよかった。あの決断がなければ、お風呂を逃していたかもしれないのだ。
「さあ、洗ってくれ」
一度、湯舟につかり、体を濡らしてきたロザミアがいった。おれもすでに服を全部脱いでいる。裸の男女がお風呂に一緒だ。
冷静を装って、いかにも、女性の裸を洗うのに慣れているかのように平然と、タオルに石鹸をつけて、ロザミアの背中を洗い始めた。
「わらわはきれい好きなのじゃ。当然、隅々まで洗うのじゃぞ」
ごふっ。ありがたいご命令。思いきって、背中の次に、おっぱいへと洗う場所を動かす。ぼよんぼよんして柔らかい。
これから、これが毎日、つづくだと!
考えられんことではないか。
おれの頭を一瞬、リーゼの裸が通りすぎた。リーゼは憧れの人、ロザミアはご主人様だ。大丈夫。おれの中で、二人を両立させることに何の問題もない。
「まこと、おっぱいばかりを洗ってないで、全身を洗ってくれ」
「は、はい」
声がかすれた。ロザミアのおっぱいの下を洗い、腹から、足、腕、そしと、股へと腕が伸びた。
実は、おれは童貞である。妹のあそこは見たことはあるが触ったことはない。つまり、ロザミアのあそこを触るのは、生まれて初めてなのだ。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
なぜか、おれの方が声があえぎ声になり、お湯をつかって、ロザミアの秘部をしっかりと洗った。生まれて初めて、マンカスをとるという行為を行ったのだ。それは白く確かにロザミアのあそこについており、誰かがとらなければならないものだ。
だって、ロザミアは自分で自分の体を洗ったことがないんだもの。
将来のロザミアの旦那さんのためにも、あそこはきれいにしておかないといけない。おれは真面目に真剣になった。
そして、ふと、気がついた。クリトリスを弾いたらどうなるだろう。
怒るかな。怒らないかな。
おれは、さも、仕方ないかのように、と、おれ一人が思いながら、ロザミアのクリトリスを弾いた。
「あん」
ロザミアがあえいだ。
それだけなら、よかったものの、ロザミアの口から出てくることばは信じられないものだった。
「まことはそこを攻める派か。城の侍従は積極的に刺激するのだが、アイザはほとんど刺激してくれないので、悩んでおったのじゃ」
おれは何と答えてよいか、頭が混乱したが、何か答えなければならないことは理解していた。
「その侍従は男で?」
「女じゃ。男の侍従はまことが初めてじゃ」
おれはどっと安心した。
「攻めた方がよろしいのでしょうか」
「うむ。なんでも、胸を大きくする効果があるらしい」
それは、
「それは大事なことですな」
「そうじゃ。大事なのじゃ」
おれは次の段階へと移った。重要な確認をしなければならない。
体で確認するか、ことばで確認するか、迷ったが、ことばで確認した。
「ロザミア様は、処女膜はおありですか?」
殺されるかもしれないと思った。
「ふふっ、処女に決まっておろう。嫁ぐ前の皇族じゃぞ」
触って確かめてみると、確かに膜があった。おれはすごい経験をしている。
これから、これが毎日。
鼻血が出た気がして、ぬぐってみると、鼻水だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます