キャラクター 絢瀬絵里

 三年生。ロシアの血が四分の一流れており、幼少期はバレエである程度有名だった。一期では生徒会長を務めていたが、二期ではそれをμ’sのリーダーである穂乃果に譲る。


 彼女について「すごいなあ」と素直に感心するのは、そのキャラクターの妙にあります。ギャグキャラでもなく、意図して笑わせようとするわけでもないのに、どこかその言動にツッコミどころがあってネタキャラとなる。「バクマン。」のシリアスな笑いといいますか、本人はいたって真面目にやっているはずなんです。でも面白い。これは京極監督や花田脚本がそう仕向けているわけではないと思います。奇跡のような偶然が重なりに重なって、結果としてあのようなKKE、もしくはPKEのキャラクター像が出来上がっていった。

 ラブライブ!の商業的成功が様々な偶然によって引き起こされたのと同様に、絢瀬絵里というキャラクターもまた、奇跡的な巡りあわせによって誕生したのかもしれません。


 さて、そのPKEの最たる例の一つに、一期七話の「A-RISEは素人」発言と、それに連なる二期三話での「A-RISEには、敵わない」ということりの発言に同調するような態度を見せたというのがあります。絵里の言動の矛盾に気付いた視聴者からは様々な憶測がなされ、また様々な二次創作にもネタとして使われるようになりました。

 その中で、絵里を擁護する意見としては、花陽も言っていたように

①生で見るライブの迫力が映像のそれと比べて圧倒的であった

 といったものや、

②A-RISEのパフィーマンス力の向上

③素人発言は海未に対してのリップサービス

 といった解釈があり、一応の説明がつけられていました。


 今回はそのあたり(絵里の言動の矛盾がなぜ起きたのか)について語っていきたいと思います。


 実際に、絵里のダンスの実力は海未も言っていたように素晴らしいものがあります。μ’sの振付は様々な発言からことりや海未などが主となって考えているようですが、ダンスの細かな部分の指導は絵里が行っていたと考えられます。海未はよくリズムに合わせて手をたたき声をかけていましたが、作詞に時間を取られることもあるため常時そうであったとは考えられません。

 もしや絵里は、μ’sたちのダンスパフォーマンス力の向上を目指し彼女たちを指導してきたものの、それがまだA-RISEには遠く及ばないまま予選を迎えてしまったということについて落ち込んだ様子を見せていたのかもしれません。

 つまり、絵里の言ったとおりにA-RISEは確かに素人だったが、それ以上に稚拙だった今のμ’sでは敵わない、と絵里は感じたのではないでしょうか。


 もちろん絵里は、今のままではA-RISEに到底かなわないと悟り、やり方変えたりと様々なことをしてきました。

 例えば、先輩後輩の垣根をなくしたり、下級生に責任感を持たせるために穂乃果を生徒会長に薦めたり。だからこそ、よりμ’sを成長させようと苦心してきた中で、にこのバックダンサーのくだりでは怒りをあらわにしましたし、二期五話では運動能力の高い、だけども自分に自信が持てない凛を一時的にリーダーに任命することによって成長させることに成功しました。


 そのようにして、絵里は陰でμ’sを支えてきたのだと私は考えます。

 最終予選でμ’sがA-RISEに打ち勝つことができたのは、A-RISEとの実力の差を予選で目の当たりにして、それでも何とかしようと奮闘した絵里の努力が隠れているように思います。

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