キャラクター 高坂穂乃果

 音ノ木坂学院二年生。二期からは生徒会長に。

 明るく誰にでも臆することなく接することのできる性格で、個性豊かなμ’sを引っ張ってゆく存在。リーダー。


 やっぱり穂乃果について語りたいことといえば、一期終盤から二期の一話にかけての顛末。


 私がラブライブ!を観てすごいと思ったのは、勢いの良さです。一期一話で急に歌いだしたかと思えば、いきなり車の通る道路へ飛び込み、踊り始める。しかも、轢かれない。二期一話でも生徒会長になって早速ミュージカル風なものをはじめ、終盤では天候さえ操ってしまいます。

 その、まるで世界は私たちを中心に回っているんだと言わんばかりの自己中心的なところに、言いようのない魅力が隠されているような気がしてならないのです。しかしもちろんそこには危うさがあって、一期でスクールアイドルに反対する海未やにこ(彼女の場合は少しニュアンスが違いますが)を強引に仲間にしてしまうように、μ’sは、ある種穂乃果のカリスマ性と勢いだけで成り立っていたような感じを受けていました。


 だからこそ、一期終盤にぎりぎりで成り立っていたμ’sは、穂乃果の独断専行やことりとのちょっとした行き違いなどから簡単に崩れ去ってしまって、一度完全に活動をやめることになってしまったのではないでしょうか。


 そこで穂乃果は、いかに今まで自分勝手に突っ走ってきたのかを反省することになります。しかし、ここで長年穂乃果の独断専行に振り回されてきた海未が、穂乃果はそれでいいのだと、いつも通りでいいのだと諭し、それを受けて穂乃果は「ことりとずっと一緒にいたい」という自分勝手な思いを優先して、そのまま勢いでことりを連れ戻し、満員の講堂でライブを成功させます。


 それで穂乃果は元の奔放な穂乃果に戻ったのかと思いきや、なんと二期一話ではもう一度あるというラブライブを「出なくてもいいんじゃない?」とあまり乗り気ではない言葉とともに迎えます。

 その理由は生徒会長という責任ある立場になってしまったため。一期終盤のように委縮してしまったのです。

 ですが、ここでは海未だけでなく、μ’s全員で穂乃果の背中を押し、穂乃果はラブライブを優勝すると宣言するのです。


 ここで注目したいのが、穂乃果がアイドル活動に消極的になってしまったこの二つの話とその解決方法。


 本来この二つは原因こそ違えど、穂乃果の態度や解決の仕方などは非常に似ているのです。一人で突っ走って失敗して(あるいは失敗を繰り返すのが怖くて)、普段の穂乃果のような、リーダーとしてみんなを引っ張っていく力が失われてしまった。しかし、そこで仲間が大丈夫だと励まし、背中を押し、穂乃果はいつもの穂乃果を取り戻す。

 二期一話をラブライブ!の十四話とするのならば、あまりに早い間隔で同じような過程を繰り返していることになるのです。


 と考えると、実は穂乃果は、一期十三話の時点から二期一話の時点まで、実は少なからずどこかに不安が残っていたのではないでしょうか。

 海未のおかげで表面上(というかほぼ)穂乃果は復活しましたが、不意に何かのきっかけで訪れるPTSDのような、そういったもろい部分がまだどこかに存在していて、それは海未だけでは解決できない。


 つまり、穂乃果は海未だけでなく、μ’s全員の力を借りて初めて自分の好きなように羽ばたき直すことができたのではないでしょうか。同じような話を一期終盤と二期一話で繰り返したことにはこういう意図があるのだと私は感じました。

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