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全校生徒投票でも、代表者会議である評議会でも丁度半分に分かたれた議題は。この『大したこともない』騒動は。
ただの同情――共感から引き起こされた『壮大な』物語は。
そして、また私の預かり知らないところで平定されると思っていた、『不道徳』は。
最後の最後には――私の一票を以て終結しようとしていた。
「会長、どうするのですか」
二年副会長の菫野は、私を睨む。
「………………」
「……小鉢会長!
「……わ、わかった、決める。決めるよ――」
私は菫野に応えるというよりもむしろ、自分に言っているような調子で繰り返した。
そして。
「――――――!」
『天秤』という名の葉が、心の樹に芽生えた瞬間だった。
後ろから刺さる、虚の暗がりに潜む異形の怪物のような、憎悪にも似る、腐敗した一組の視線には、決して戦って勝利するわけでもなく、ただ今後一生気付かないふりをして生き過ごさねばならないのだろう。
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