第2話 お前は誰だ?

 さて、この縄はどうやったら取れるんだ?

 俺は手をブンブン振り回そうとした。 だが、そんな努力も虚しく、縄は外れずにギシギシと音をたてるだけ だ。 無論、何も喋ることはできない。

「んぐっ…っ…」 呻きながら俺はとにかく体を動かした。

 おっ…!

 さっきよりも縄が緩くなった気がする。 よし、このままいけば……。

「ぐ……っ!」

 なんてことだ。 縄が急にきつく俺の腕ーだけではなかった。足も胴体もだ。ーを締め付 けた。

 痛い。 痛い。

 いってえぇぇぇぇぇぇぇぇ!


「あらぁ。どうされましたぁ?」

 ノックもなしに誰かが部屋に侵入してきた。 俺は一旦縄と格闘するのをやめ、ドアの方に目を向けた。 ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。

 なんと美しい。 まるでフランス人形みたいだ。

 俺の大好きな巨乳付きだ。 フランス人形足す巨乳割る2、みたいな女の子がいた。

「大丈夫ですかぁ?」

 何だか語尾を伸ばす癖があるようだ。

「んんんぐぐぐ……!」 俺は喋れない。

 そのかわり一生懸命首を横に振る。

「ではそのお口のテープを剥がして差し上げましょうぅ。」

 うおーーーっ! 天使がここにいる! 超美顔と一緒に揺れる巨乳が近づいてくる。

 俺は興奮を抑えられなくなっていた。 体のいろいろなところがビンビンである。

「さあ、はがしますよぉー。」 ありがとう神様! っと思った矢先だった。 !!!!!!!!!! 「いっっっっっっっってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 俺は叫んだ。

 なぜならばテープを思い切り剥がされたからだ。 しかも手を使わずに。

「あらぁ、痛かったかしらぁ?ごめんなさ~い。」 女の子は何もなかったように歩き去っていく……のではなく消えた。

 消えたのだ。

 一体ここはどこなんだ?

 俺はどうなったんだ? テープを剥がされた痛みでおかしくなったのか?

 あの女は誰だ?


 幸いにも俺は生きているらしい。

 つーかホントになんだあの女。 消えやがった。 普通の奴らにはあんな魔法みたいなこと出来ないよな。

 そこまで考えて俺はハッとなった。

 魔法。

 魔法?

 魔法!

 そうか俺は魔法が使える世界へ来てしまったのか。 なんかかっこよくない、俺?

 魔法が使えるお坊ちゃまだってよ。

 俺は自惚れた。

「アスペリード・シャウト・モジュナーレ!」 調子に乗った俺はどこかで聞いたことのある魔法の言葉を唱えた。 そして上半身を起こそうとしたとき。 「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 なぜか胴体に巻かれた縄が食い込んだ。

 そう、俺は気づいていなかったのだ。 縄はまだ巻かれたままだということを。


「やけにうるさいわねぇ。」

 またあいつか?

「おい来るn……」「アミスウェーブ・ストップ・ムービング」

 ん? 頭は働くのに体が動かない。

 乳でも揉んで黙らせようと思ったのにこれじゃあ失敗じゃないか。

「あらぁ、うるさいのはあなただったのねぇ。またテープを巻いて差し 上げましょうかぁ?」

 やめろぉぉぉぉ!

 そんな俺の心の叫びなど聞こえないというふうにそいつはまた呪文を唱 えようとした。

「お嬢様、お止めになった方がよろしいですよ。」

 隣にいたじいさんが言った。 なに!? そいつがお嬢様だと!?

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