お坊ちゃまな俺が異世界行ったら奴隷になって、なんと異世界を救ってしまいました。

ゆうちゃん

第1話 俺は一体どこにいるんだ!?

 学校から車で家へ帰り、好きなだけお菓子を食べ、好きなだけゲームをして、好きなだけテレビを見る。

 とにかく何をしても自由な生活を俺はしていた。

 身の回りのことは何でもやってもらえる。

 そう、俺はお坊ちゃまだからだ。 世界でシェアトップを誇る貿易会社の社長ご子息様々である。 何ともいいご身分だろうか。

 そのおかげか、俺は昔から苦労という苦労を味わったことがなかった。 もちろん学校も車で送迎だ。 家もエレベーター付き、食事だって座っていれば出てくる。 なんて怠惰な生活だろう。

 ただ俺はそれを当たり前だと思っていた。 もう救いようのない子供である。


 とある日、俺は晩御飯を食べた後眠ってしまった。

 その日は体育の授業があり、俺は体力を使い果たしてしまったのだ。

 ベッドに転がった俺はすぐさま夢の世界へ入っていったらしい。

 ベッドに転がる。

 今よりも豪華なごはん。

 綺麗な部屋。

 大理石の壁、バスタブ、床。

 俺は大豪邸に住んで、今よりもずっとずっと豪華な暮らしをしていたのだ。

 今の生活に不満はなかった。 だが、何か物足りなさを感じていた俺は夢の中でいい思いをした。


「……はっ!」 バッと目を覚ます。

 ん? 俺は今どこにいるんだ?

 上を見る。

 俺の部屋の天井はプラネタリウムが出来るように黒くなってる。

 ここの天井は真っ白である。

「へ?」 寝ぼけながらドアを開けて部屋の外に出る。 キャンドルが飾ってあるはずの廊下は、電球だった。 俺は疑問に思い、行く先で見つけたドアから順に開けていく。

 俺の住んでいる大豪邸と似ているようで似ていない。 おっと、危ない。

 床の絨毯の段差に引っ掛かった。

「あのー大丈夫です……つーか何出歩ってんの?」 !? なんだなんだ? 知らない人だとはいえ、態度の変わり様酷すぎでしょ、いくら何でも。

「この廊下を歩いていいのはご主人様だけだ。とっとと戻れ。」

 はぁ。

 一体何なんだ、ここ。

「早く戻れっ!」

「あのぉー、ここはどこなのぉー。」 俺はわざとふざけたように聞いた。 反応はない。

「おい、反応しろ。」 俺が何か言って反応しなかった奴はいままで一人も見たことがない。

 もし、俺様に対してのリアクションがなかったら……。

「きさm……」 俺は何かを言いかけた途端、何かに吹っ飛ばされた。


 うへぇ…。 痛ってぇ。 吐き気がする。 ぱちくり。瞬きをして周りを見渡すと、また俺は最初と同じ部屋に寝かされていた。

 ただ、さっきとは体の感覚が違う。 頭だけ起こして自分の体を見下ろし、気づいた。

 手が縄で縛られている。

 足も縄で縛られている。 胴体も縄でベッドに縛り付けられている。

 なんという有様だ。 お坊ちゃまな俺様が性奴隷みたいじゃないか。

「………。」 何だと!?

 口もテープで閉じられている。

 これから俺はどうなってしまうんだ? 俺は自分の未来に絶望感を抱いた。

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