第3話

 公園でゾンビ達がウロウロとしていた。

「ああ、平和なものだな」

 本物のゾンビは人を襲ったりしてこないのだった。

 小さな女の子のゾンビがお父さんとお母さんのゾンビと手を繋いで歩いて行った。

「こんちにわ」

「うがが」

 ゾンビとは会話が成立しないが、テクノロジーの発達ですぐにそれも解決するだろう。

 しかし、あの人を襲うゾンビをバンバンと銃で撃つテレビゲームは何だったのだろうか?

 誰かが人々を洗脳しようとしていたとしか思えない。

 ゾンビは殺してOKですよと。

 もちろんゾンビだって元は人間だから、ゾンビになった後も人権は尊重されるべきだ。

 ゾンビだから殺してOKってのは考え方が間違っている。

 それを言ったら、馬鹿だから殺してOKとか、何国人だから殺してOKって事も言われるようになるだろう。

 まったく情報とは危険なものだ。

 と、そこへ、バンババン!と銃声がとどろいた。

「こらー、何やっとるか!」

 向こうから警官が来た。

「ぞ、ゾンビがー」

 若い男が銃を持ってゾンビを殺したようだ。

「銃を捨てろ」

 警察官が男に向けて銃を抜いた。

「いや、ゾンビが居たんだよ」

「銃を捨てろ!」

 男は銃を捨てた。

「腹ばいになれ」

 男は腹ばいになった。

「殺人の現行犯逮捕だ」

「ええー、俺はゾンビを撃っただけなんだよ」

「うるさい、この人殺しが」

 そうして男は警官に連行されていった。

 まったく、何が危ないんだか分かったものじゃない。

 己は落ち着いて話しているけど、現場は騒然としていますよ。



 おわり。

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