第1話 私
もう嫌だ、誰でも良いから助けてほしい。私をここから……この地獄のような日々から救い出して。何度そう思ったことか。どこにも私の居場所がない。そう、私はいじめられている。高校二年生春から突然いじめられだした。理由はよくわからない。そもそも、この世でいじめられている人はみんなその理由を分かっていないだろう。
でも、日に日に酷くなっていっていることだけは確かだ。誰が主犯なのか、何人の人が関わっているのかは分からない。
最初は自分の持ち物を隠されるだけだった。必要なときに無くなっていて、少しすれば元に戻っている。だんだんと、教科書を破られたり、机に落書きをされたり、先生がいないときに殴ってきたり……。
でも、そんなのはまだいい方だった。
カンニングをした、クラスの子に怪我をさせた、万引きをした、と身に覚えのないことを先生にチクられ、怒られ、評価を下げられたり……。それだけじゃなかった。月に何度もお金をとられる、好きでもないやつに告白させられる、隣町まで買い物に行かせる、ありもしない噂を流される……。言いせばきりがないぐらいのことをこの一年でされてきた。
そういう想いをするのが学校だけだったならどれだけよかったことか。昨年まで私の家は母子家庭、母と私との二人で暮らしていた。小学四年生のときに離婚して以来一度も男といるところを見たことがなかった。これからも見ることはないだろうと思っていたときにやってきたのがあいつだ。あいつのせいで母は壊れた。
私の母は大人しく、お金を無駄につかわない、自分で自分を飾らない綺麗な人だった。なのに……あいつと付き合いだしてから、母はどんどん変わっていった。何歳だよ!って聞きたくなるぐらい短いスカート、胸元ががっぱりとあいているシャツ、10cmはありそうなヒール、明るい髪の毛、謎の衝動買い……。見てて気持ちが悪くなるぐらい、母は変わった。それはそれで許せないことだが、私に被害はなく、良い方だった。そう、母の再婚相手は「母」にではなく、私に八つ当たりをしてくる、最低な人だった。私だけじゃ満足しないときだけ母に手をあげていた。『アルコール依存症で気にくわないとすぐ手をあげる最低な男の娘』ということで、血は一滴たりとも繋がっていないのにその噂はすぐに広まった。再婚していると知っていても、みんなが私のことをばかにしてきた。
それがここ2年ぐらいの私だ。たった2年?短くね?って言われても……ね?
この2年という短さが私の全てを物語っている。生きている意味もなく、毎日色んな人からの色んな暴力に耐える日々。
流石に2年も経てば慣れるんじゃね?って言う人もいるけど、日に日に酷くなっていっているだけだから慣れることは決してなく、辛いだけ。良いことがあるとすれば、殴られることにたいしての恐怖とやらはもう消えていた。
もう何もかもが嫌だから死のうと思った。あいつら全員に後悔させてやるという気持ちで遺書みたいなものも書いた。
だから私は今ここにいる……私の通う学校の屋上。
「それじゃあみなさん、さようなら」
さようなら、
私の世界
何かの為に、私は繰り返す 華叶夢778 @nanaha
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