第6話 「じょうぶな男」

最悪最悪……。

廊下に仁王立ちしている陽花は、思わず山下景に腹パンをしてしまい、ちょっとした注目を浴びていた。とある女子たちが先生を呼びに行ったのか階段をかけ下りる音がした。先生にバレたらアウトだ…!


「ちょ、山下。ほんとごめん。大丈夫…なわけないよね…」


景は倒れているので返事はしないと分かっていたが謝らずにはいられなかった。他のクラスの人たちも集まってきた…。里緒や玲愛に心配かけちゃうな…。あぁ…私の高校生活終わった…。


「あれ。佐伯さん。どうしたの」


ふと聞き覚えのある声が聞こえた。聞こえるはずのない声。山下景の声だ。


「……へ?」

「なんで下向いてるの?なんか周りにも人たくさんいるし…?」

「え?さっき殴られて倒れなかった?え?」

「あー。俺の体強いから。なんかよく殴られてて、殴られるのなれちゃった。」


景は平然とした顔でそう言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

旧 佐伯ちゃんの日常 まっしろけっけ @saitou_h0222

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ