第3話「出会っちゃった」

私と玲愛はさっきの男子2人の戯れを堪能した後、クラス表を見に行った。なんだか人に見られている気がする。

陽花は顔がよく里緒は小さいが美形、玲愛もどちらかといえば顔はいいほうなので昔から私達は目立つ存在だった。


「んー…あ!あったー!…里緒も同じよ!」

「げ。最悪。俺、A組かよ…」

「えーっと…私は…」


それぞれ自分のクラスを見つける。

陽花はB組、玲愛と里緒はA組だった。玲愛と里緒は1つ年上なので分かれるのは分かりきっていた。


「……っ……!!まじか……」


私はめんどくさい奴の名前が自分と同じクラスにあったので、ちょっと落ち込んだ。すると、大きな声が聞こえた。


「えー!悠斗ゆうとC組ー!??違うクラスじゃん!」

けいうるさいー!いいじゃんクラス隣なんだから~」


私は驚いた…。悠斗と景という人達はさっき戯れていた男子2人組だった。

あの2人も顔がいいらしく女子に騒がれていた。ていうか、やっぱりラブラブじゃん。じっと見つめているとまた目が合う。たぶん景って名前のほうだと思う。すると、こっちへ近づいてくる。


「あのっ…!!」


急に話しかけられたので私は驚いて変な声を出してしまった。


「ぎゃっ!?…なっ…何ですか…??」

「一目惚れです!好きです!付き合ってください!!!えっと…名前は…?」


景は陽花の前に手を出す。周りがとてもザワザワしている。

…は?何を言っているんだこの人は。初対面の人に好きって…。しかも名前聞いてきた。キモすぎる…。今までこんな人いなかった…


「こいつは佐伯陽花って名前だぞ」

「景ー!佐伯さんだってー」


里緒が口を開く。なんで名前言ったんだ…。あ。こいつ絶対面白がってるぞ…顔がゲスい。悠斗という人も面白がってるようだし。


「…!佐伯…さん!」

「う"っ……キモい…」


名前を呼ばれて思わず冷たい態度をとってしまう。こういうのは、優しく断らないとめんどくさいんだよな…。


「あの…ごめんなさい。私そういうの興味ないんで。あなたの事も全く知りませんし。」

「だったら!これから知ってもらえれば!俺、山下景って言います!」


陽花は一瞬固まる。

………?やました……けい?どっかで聞いた事あるような…?んん…?…いや、そんなことはどうでもいい。

助けを求め、ふと周りを見ると、里緒がクラス表を見ているようだ。


「あー。山下くんB組じゃーん。陽花と同じー。良かったねー。」

「ちょっとー!里緒棒読みじゃない」


あー…里緒と玲愛がまた余計な事を…。昔からいつもこうだ。


「えっ!佐伯さんB組!?やった!」

「景……俺と離れて悲しんでたくせに…」


景は喜びからか悠斗に抱きついていた。スキンシップが激しいようだ。抱きつかれた悠斗は困ったような悲しんでいるような複雑な顔をしている。この2人…いいですな。

陽花は景が近づいて来ればこの2人のラブラブが見れると思い、もう口出しはしなかった。景と話したせいで余計に騒がしくなってしまった。顔良き集団だとかどこかから聞こえてきた。

皆で騒がしくしている所…


「やっと見つけた…佐伯陽花っ…!!」


誰かが何かを呟いたようだが騒音で誰にも聞こえていなかった。景がしっかりこっちを見る。陽花も見つめ返すと景は少し照れたような素振りを見せた。

やっぱり私こいつ知ってる気がする。


「よろしく!佐伯陽花さん!」

「……よろしくしない」


とりあえずめんどくさい事になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る