第2話「あと少し」
「あーもー!!最悪!」
玲愛が叫んでいる。さっき、バス停につき私と玲愛と里緒はバスに乗った。バスに乗り、時計を見た。すると思ったより早く着きそうだったので私達はのんびり歩いた。すると遅刻寸前の時間になっていた事に気がつき、里緒が突然走り出した。
「はぁ!?先に行こうとしてんじゃないわよ!!!!!!……ちっ…あのクズ男…」
「しょうがないよ。里緒兄は昔からあんな感じだもん。」
「私、昔の里緒知らないし」
「いや、中学の頃の話。それなら分かるでしょ。」
陽花は玲愛を納得させると、手を引っ張り走り出した。間に合うか分からないけどとりあえず走る事にした。
*
学校へ着くとまだ人がたくさんいる。わいわい騒がしく、急いでいる素振りは全くない。
「……あれ?もう時間なんじゃ…」
陽花は近くで女子に囲まれている里緒を見つけた。
「ねぇ?里緒?まさか時間、間違えてたとか言わないよね?」
玲愛は女子達を押しのけ、里緒に話しかけた。女子達が騒いでいるようだが陽花も玲愛もは気にしない。里緒をじーっと見つめる。
「んー…時間間違えてたかもなー。でも自分て確認しなかったお前らも悪いぞ」
「いや、だっていつも里緒に任せっぱなしだったし。仕方ないじゃん」
里緒はとても頭がいい。学年トップで去年の入試もトップだったらしい。けれど、頭はいいが少し抜けている所があるのを私は知っている。
「んー早く来れたからいいんじゃない?玲愛姉と里緒兄とおしゃべりできるよ!」
「あー…バカ玲愛と話すことなんてないだろ」
「里緒兄、玲愛姉はバカじゃないよ!ちょっとアホで空気読めないだけだから」
「なっ…!!うざっ!」
3人で話していると人にぶつかってしまった。背が大きくがっしりしていたので男だろう…最悪だ…男…。
「あっ!すみません~」
陽花にぶつかった男は話し方と見た目からしてチャラ男そうだった。とりあえずお辞儀をしてその場をさる。
チラッとその人を目で追いかけると男の所へ行っていた。チャラ男っぽかったのに男の所へ行くとか…まさかデキてる…!?私は2人の男の事が気になり観察する。頭を撫でたり、抱きついたりしていた。玲愛も気づいたらしく見つめている。すると片方の男子と目が合ってしまった。だが、相手がすぐ目をそらしたので私は気にせず2人を観察し続ける。
「ねぇ…陽花…あの2人…良くない?」
「それ私も思ってた…良い…」
陽花と玲愛は長々と2人の戯れを観察しており、里緒は後ろから見守っている。
「…お前ら…頭大丈夫か?」
里緒はそう言って陽花と玲愛の頭に1発チョップをかました。
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